改訂新版 世界大百科事典 「大腸黒皮症」の意味・わかりやすい解説
大腸黒皮症 (だいちょうこくひしょう)
melanosis coli
大腸メラノーシスともいう。大腸の主として粘膜固有層の間質に,ときに粘膜筋板や粘膜下層に,メラニン様色素が沈着して大腸粘膜の表面が豹紋(ひようもん)状,あるいは石畳状に褐色または黒褐色を呈する状態をいう。発症は欧米で100人に5人前後であるが,日本では100人に3~15人といわれ40~60歳代に多く,まれな病変ではない。ただし,とくに治療の必要はない。原因は不明であるが,便秘傾向の人に多くみられ,アントラセン系下剤の連用が本症の発現に関連があると考えられている。下部大腸に多くみられるが,右側大腸にもしばしばみられる。診断は大腸内視鏡検査によってなされ,腸生検で褐色顆粒を含む貪食細胞を認めれば診断は確定される。
執筆者:朝倉 均
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報