大船の(読み)オオブネノ

デジタル大辞泉 「大船の」の意味・読み・例文・類語

おおぶね‐の〔おほぶね‐〕【大船の】

[枕]
船の泊まる所の意から、「津」「渡り」にかかる。
「―津守つもりうららむとは」〈・一〇九〉
大船のゆったりとしたさま、または、揺れ動くところから、「ゆた」「ゆくらゆくら」「たゆたふ」にかかる。
「―ゆくらゆくらに面影に」〈・四二二〇〉
大船を頼りにするところから、「たのむ」「思ひたのむ」にかかる。
「―たのめる時に」〈・六一九〉
船を操る楫取かじとりと音が似ているところから、地名香取」にかかる。
「―香取の海にいかり下ろし」〈・二四三六〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「大船の」の意味・読み・例文・類語

おおぶね‐のおほぶね‥【大船の】

  1. 大船のゆったりとして安定したさまから、ゆったり、落ち着いたの意の「ゆた」にかかる。
    1. [初出の実例]「海原の 路に乗りてや 吾が恋ひ居らむ 大舟之(おほぶねの) ゆたにあるらむ 人の児ゆゑに」(出典万葉集(8C後)一一・二三六七)
  2. 大船がゆらゆらと揺れるさまから、揺れ動く、動揺する意の「ゆくらゆくら」にかかる。
    1. [初出の実例]「大船之(おほぶねの) ゆくらゆくらに 思ひつつ 吾が寝る夜らは よみもあへぬかも」(出典:万葉集(8C後)一三・三三二九)
  3. 大船を頼みにするところから、「思ひ頼む」「頼む」にかかる。
    1. [初出の実例]「天の下 四方の人の 大船之(おほぶねの) 思ひ頼みて」(出典:万葉集(8C後)二・一六七)
  4. 大船の渡る渡り、大船にいる楫取(かとり)から「渡り」「楫取」と同音の地名「渡り」「香取」にかかる。また、大船の停泊する津から、「津」と同音を持つ人名津守」にもかかる。
    1. [初出の実例]「大船之(おほぶねの)津守が占に告らむとはまさしに知りて我が二人寝し」(出典:万葉集(8C後)二・一〇九)

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