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旧中国で、超越的存在としての天が人間に命じ与えたものをいう。西周時代には、天は、無道の君主から天子たるべき命を取り上げ、新しい王朝に命を降(くだ)すとされた。これは、殷(いん)を滅ぼした周がその位置を正当化しようとしたことによるもので、『書経』『詩経』や金文(きんぶん)に現れる。この考え方は、王朝の交代を説明する易姓(えきせい)革命の原理として、以後も中国の政治思想や歴史意識に大きな影響を残した。天命は、天下全体の問題として考えられたとともに、個々の人間の段階では、運命の意味において、さらには、人間の固有の道徳性を内容とするものとして解された。『論語』に「天命を知る」とあるのはそれである。また一般的には、宿命観を表すことばとして広く使用された。
[内山俊彦]
運命をいう。原義は天の神の命令という意味であったが,天の命令は人力ではいかんともしがたいものであるところから,人間の外にあって,人間のあり方を規定する力を意味するようになった。しかし〈使命〉の意味に解することがある。天命に〈運命〉と〈使命〉の2義が含まれているため,《論語》の〈五十にして天命を知る〉の天命は,運命(自分にはこれだけしかできない)なのか,使命(これだけはどうしてもしなければならない)なのか,解釈が分かれている。
執筆者:日原 利国
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…現栃木県佐野市街の南西部分。天命とも書いた。特産物の天明鋳物は古くから知られ,〈東山時代,関東の天明釜をもって良とす〉(《和漢三才図会》)と,西の芦屋釜に対して高い評価をうけている。…
…中国において天帝の息子として,天帝に代わって全世界を統治する者をいう。周王朝の初年,周公(旦)らが発展させたという天命の思想によれば,天帝は天の命令を下して一つの王朝(それは血縁関係で継承される)に天下の統治をまかせるのであるが,その王朝が徳を失うと天帝はそれを見捨て,別に徳ある者を見つけ,その者を天の元子(あととり息子)と認知して,代わって天命を与える(天人相関説)。その子孫が代々天子として,天に見捨てられるまで,天下を統治してゆく。…
※「天命」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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