デジタル大辞泉
「運」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
はこ・ぶ【運】
[1] 〘自バ五(四)〙
① 物事が滞らないで進展する。はかどる。進捗する。
※近世紀聞(1875‐81)〈
染崎延房〉五「非常の処置を做ずんば決して事は運
(ハコ)びがたし」
② 心などがそちらに向かう。寄りつく。
※広本拾玉集(1346)三「
大寺の池の蓮の花ざかりはこふ心にたむけてぞ見る」
[2] 〘他バ五(四)〙
① 持ったり、載せたりして、物を他の場所へ移し送る。運送する。伝達する。
※
源氏(1001‐14頃)若菜上「かの院よりも、御調度などはこばる」
② 足などを移し進める。あるかせる。
※
海道記(1223頃)序「あかぬ
余波(なごり)をとどめて歩を運ぶ」
③ 書いたり縫ったりするために筆や針をうごかし進める。
※銀の匙(1913‐15)〈
中勘助〉前「母は針をはこびながら」
④ 物事を推し進める。どんどんはかどらせる。進捗させる。
※地蔵十輪経元慶七年点(883)二「相ひ与(とも)に謀議して諸の籌と策とを運(ハコ)びて」
⑤ そちらに心を向ける。心をよせる。
※
日葡辞書(1603‐04)「ヒトニ ココロザシヲ facobu
(ハコブ)」
⑥
謡曲で、少しずつ調子に乗って速く謡う。〔わらんべ草(1660)〕
はこび【運】
〘名〙 (動詞「はこぶ(運)」の連用形の名詞化)
① 他の場所へ、物などを移送すること。持っていくこと。運送。運搬。
※経済小学家政要旨(
仮名付)(1877)〈永峰秀樹訳〉八「薪の運送
(ハコビ)を加減せざる可らず」
② 足をはこぶこと。歩くこと。
※八帖花伝書(1573‐92)七「大夫足のはこひを見て、さらさらと
吹上」
③ 物事のはかどり具合。進む状態。進行。進めかた。
段取り。
※
舞姫(1890)〈
森鴎外〉「涙の迫り来て筆の運を妨ぐればなり」
④
連歌・
俳諧で前句に付句を付け合わせること。また、その付けかたのすすめ具合。付合
(つけあい)。〔俳諧・雪おろし(1751)〕
うん【運】
〘名〙
① 幸、不幸などをもたらし、状況を動かしていく、人の力ではどうすることもできない作用。巡り合わせ。運命。
※台記‐康治二年(1143)八月一一日「臣以二運之拙一、不レ帯二一職一、已以遁世」
② (特に、よい場合をいう) 幸運。しあわせ。⇔
不運。
※大鏡(12C前)五「いとかかる運におされて、御兄たちはとりもあへずほろび給ひにしこそおはすめれ」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報