天手力男命(読み)アマノタヂカラオノミコト

デジタル大辞泉 「天手力男命」の意味・読み・例文・類語

あまのたぢからお‐の‐みこと〔あまのたぢからを‐〕【天手力男命】

日本神話で、天照大神あまてらすおおみかみの隠れた天の岩屋の戸を手で開けた大力の神。天孫降臨に従った。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「天手力男命」の意味・わかりやすい解説

天手力男命
あめのたじからおのみこと

天岩戸(あめのいわと)神話なかに出てくる神。須佐之男命(すさのおのみこと)の乱暴を恐れた天照大神(あまてらすおおみかみ)は、天岩戸にこもってしまった。困った神々は、天岩戸から出てもらうために神事を行い、また天鈿女命(あめのうずめのみこと)が卑猥(ひわい)な踊りをしたところ、神々が爆笑した。天照大神が不思議に思い、天岩戸を細めに開いたとき、この神が手をとって引き出した(『古事記』)。文字どおり手の力の強い神の意であろうが、この話のなかでつくられた神のようにも思われる。しかし、天孫降臨神話のところに、佐那那県(さなながた)に鎮座されるとあり、伊勢(いせ)国(三重県)多気(たけ)郡に佐那神社があるところからすると、伊勢地方の地方神かもしれない。

[守屋俊彦]

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