太子・大子(読み)たいし

精選版 日本国語大辞典 「太子・大子」の意味・読み・例文・類語

たい‐し【太子・大子】

[1] 〘名〙
① 古代中国の天子諸侯の世継ぎ。嫡男。
源氏(1001‐14頃)賢木「大将の〈略〉白虹、日を貫けり。太子、懼ぢたりと、いとゆるらかにうち誦したるを」 〔礼記‐王制
② 日本で、皇位を継承する皇子や王子。皇太子。東宮。ひつぎのみこ
※西宮記(969頃)一「即太子進当御座拝」
平家(13C前)四「君は天照大神四十八世の御末、神武天皇より七十八代にあたらせ給ふ、太子にも立ち位にもつかせ給ふべきに」
③ 天子の男の子。
※太平記(14C後)一二「父のおぼえ三人の太子に超たりしかば」
④ いちばん年長の子。嫡男。
※続日本紀‐神亀五年(728)九月壬子「為太子幼弱喪礼
高野山文書‐承久元年(1219)九月二三日・尾張末恒田地充文「而依年来子、任処分帳之旨、宛行大子処也」
⑤ 香木の名。法隆寺の別名。分類は佐曾羅(さそら)。香味は苦甘酸。六十一種名香の第一。〔名香目録(1601)〕
[2]
[一] 聖徳太子(しょうとくたいし)のこと。
※知恩院本上宮聖徳法王帝説(917‐1050頃か)「太子七寺を起す。四天皇寺・法隆寺・中宮寺橘寺〈略〉」
[二] 悉達太子(しったたいし)のこと。
梁塵秘抄(1179頃)二「たいし御幸には、犍陟駒(こんでいこま)に乗りたまひ〈略〉檀特山にぞ入りたまふ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android