いかがわし・い いかがはしい【如何】
〘形口〙 いかがは
し 〘形シク〙 (「いかが
しい」の変化した
もの)
①
疑問に思われる。疑わしい。また、
正体がはっきりしない。信用できない。あやしい。
※
歌舞伎・
濃紅葉小倉色紙(1816)
発端「斯
(か)やうな儀を御諫言
(かんげん)申し上げられぬは、如何
(イカガ)はしう存じまする」
② よくない。よろしくない。下品である。いかがらしい。
※
多情多恨(1896)〈
尾崎紅葉〉前「百個日も経たぬ内に住居を移すさへ、成程如何
(イカガ)はしく思はれるのに」
③ 道徳上、風紀上好ましくない。「いかがわしい写真」
いかがわし‐げ
〘形動〙
いかがわし‐さ
〘名〙
いか‐ん【如何】
〘副〙 (「いかに」の変化した語)
① (多く
文末に用いる) 事がらの内容、
状態、原因、
理由などを疑い問う意を表わす。どのよう。どうであるか。どうか。
※大慈恩寺三蔵法師伝永久四年点(1116)一「已に統師をして、諮請せしむ。師の意何如(イカン)」
※花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉九「家君の病は如何ん」
② 事がらの内容、状態、原因、理由を不定のままにいう意を表わす。どうこう。
※白氏文集天永四年点(1113)三「何(イカン)といふことなくして天宝に大に兵を徴(め)す」
※
芸術・歴史・人間(1946)〈本多秋五〉三「問題は、〈略〉その悩みと喜びの分ち方いかんにある」
※
開化の
殺人(1918)〈
芥川龍之介〉「予は誰の為に満村恭平を殺せしか。〈略〉こは予も亦答ふる能はざるを如何
(イカン)」
いかが‐し・い【如何】
〘形口〙 いかが
し 〘形シク〙 (「いかが」を
形容詞化したもの)
① 疑わしい。おぼつかない。不安である。
※
御伽草子・
一本菊(室町時代物語大成所収)(室町末)「いかかしくおもひとがむべき人なども候はず候」
② よくない。見苦しい。どうかと思われる。
※歌舞伎・小栗十二段(1703)二「是は如何しうござりますれども、此金子をあげまする」
いか【如何】
※
談義本・当世穴穿(1769‐71)三「
博奕(ばくち)打てば如何
(イカ)にかけられて」
いか【如何】
〘
語素〙 「いかに」「いかなり」「いかなる」「いかで」「いかが」「いかばかり」「いかさま」などの
語群を作る。
物事の
様子や状態を疑い、推測する意味を表わす。どのよう。どう。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「如何」の意味・読み・例文・類語
いか‐が【如=何】
《「いかにか」の音変化》
[形動][文][ナリ]成り行きや結果を危ぶむさまを表す。どのよう。「その考え方は如何なものか」
[副]
1 状態・意見などについてたずねるさま。どう。どのように。「御機嫌如何」「この件は如何いたしましょうか」
2 事の成り行きについて疑問をさしはさむ気持ちを表す。どう。どんなもの。「その案は如何かと思う」
3 相手を誘ったり、相手に勧めたりする気持ちを表す。どうですか。「お一つ如何」「あなたも御一緒に如何」
4 疑問を表す。どのように…か。
「―言ひやるべきと、近う居給ふかぎりのたまひあはせて」〈枕・三五〉
5 反語の意を表す。どうして…か。
「かくばかり逢ふ日の稀になる人を―つらしと思はざるべき」〈古今・物名〉
6 どう言ったらよいかわからないほどの意で、強調する気持ちを表す。どんなにまあ。さぞかし。
「かかる物に捨てられぬといはれむは、―いみじかるべき」〈落窪・二〉
[類語]どういう・どんな・どのよう・どう・いかに・いかよう・いかな・いかなる・いかん
どう【如=何】
[副]
1 事物の状態・方法などを、不明または不特定のものとしてとらえる気持ちを表す。どのように。どのよう。「彼の意見を―思うか」「―すればいいのかわからない」
2 相手の意向を問うことより、ある動作を勧める気持ちを表す。「まあ、一杯―だい」「―、もう帰りませんか」
[補説]「どう」は方法や状態に関する疑問の気持ちを表し、「どんなに」は、性質や状態の程度を表す。したがって、「君の家へはどう行ったらいいのか」の「どう」を「どんなに」とは置き換えにくいが、「どう考えてもわからない」の「どう」は「どんなに」に置き換えられる。また、「どんなに寒くてもこたえない」の「どんなに」を「どう」に置き換えることはできない。なお、「どのように」は、「どう」と「どんなに」双方の意味を兼ね備えているから「君の家にはどのように行ったらいいのか」とも「どのように寒くてもこたえない」とも言える。
[類語]どういう・どんな・どのよう・いかが・いかに・いかよう・いかな・いかなる・いかん
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
普及版 字通
「如何」の読み・字形・画数・意味
【如何】いかん
いかに。いかんぞ。いかんせん。〔論語、衛霊公〕之れを如何せん、之れを如何せんと曰はざるは、吾(われ)之れを如何ともする末(な)きのみ。字通「如」の項目を見る。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報