改訂新版 世界大百科事典 「密封療法」の意味・わかりやすい解説
密封療法 (みっぷうりょうほう)
occlusive dressing treatment
軟膏など外用剤の使用方法の一つ。閉鎖包帯療法またはODTともいう。外用剤を皮膚に塗布すると,水分やアルコール,脂質の一部は時間とともに蒸発していくので,その中に含有されている有効成分を経皮吸収させるためのベースとしての機能が比較的速やかに失われる。また機械的摩擦や入浴で外用剤がとれてしまうことも起こる。そこで,おもにクリームベースに入れた外用剤を患部に塗った後,ラップフィルムでぴったりおおってしまう療法が考案された。1日このままにしておくと,ベースの蒸発が防止され,薬剤はコンスタントに経皮吸収されつづけるので,効果が著しい。このような方法が密封療法である。尋常性乾癬(かんせん)に副腎皮質ホルモンクリームの密封療法を行うと,その効果はすばらしいが,中止すれば再発すること,ラップフィルムで皮膚炎を生じる場合のあること,夏季には臭気がでて使いにくいことなどの欠点もある。
執筆者:中山 秀夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報