寝殿(読み)シンデン

デジタル大辞泉 「寝殿」の意味・読み・例文・類語

しん‐でん【寝殿】

天子日常寝起きする宮殿南殿
寝殿造り中心となる建物主人居室で、客間ともなる。正殿

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精選版 日本国語大辞典 「寝殿」の意味・読み・例文・類語

しん‐でん【寝殿】

〘名〙 (「寝」は居室の意)
① 天子が日常寝起きした宮殿。南殿。
※続日本紀‐天平二〇年(748)四月庚申「太上天皇崩於寝殿
② 平安後期に発達した貴族住宅寝殿造りの母屋をいう。→寝殿造り
大和(947‐957頃)七四「かの殿のしむてんの前にすこし遠くたてりける桜を、ちかくほり植ゑたまひけるが」
③ 寝る部屋寝室
※十巻本和名抄(934頃)三「寝殿 四声字苑云寝〈七稔反 禰夜〉寝室也 一曰寝殿」 〔新唐書‐呉兢伝〕

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普及版 字通 「寝殿」の読み・字形・画数・意味

【寝殿】しんでん

陵上の寝。寝。また、正殿。唐・元〔連昌宮詞〕詩 寢殿相ひなる、端正の樓 太眞(楊貴妃洗す、樓上の頭(ほとり)

字通「寝」の項目を見る

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「寝殿」の解説

寝殿
しんでん

寝殿造の中心に建つ建物。入母屋(いりもや)造・檜皮葺(ひわだぶき)・丸柱の建物で,板敷,天井は組入天井・化粧屋根裏になる。外側建具は妻戸を用いる四隅をのぞけば,すべて蔀(しとみ)戸で,日中は全部開け放たれるため,開放的な空間となる。内部では襖(ふすま)などの建具が用いられた。建物の四周は簀子(すのこ)縁が回り,南正面には庭から昇降するための階段があり,東・西・北の三方には渡殿(わたどの)が建つ。寝殿は主人の居所となるほか,儀式・行事の場として利用された。

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世界大百科事典(旧版)内の寝殿の言及

【住居】より

…建物は板葺きで桁行5間,梁間3間の周囲を板壁と扉で仕切り,前後に幅の広い屋根付の広縁が設けられていた。このように奈良時代の住居は,後に寝殿造へと発展してゆく貴族住宅の過渡的な形がだんだんと明らかになってきている。他方,庶民の住居の多くは室と呼ばれる竪穴住居であったことが《万葉集》の用例などによって知られている。…

【寝殿造】より

…完成形または典型をどのようにとらえるかは異論もあるが,現在までは次のような説が有力である。まず敷地は方一町(約120m四方)で,主屋である寝殿を中心に,東および西,場合によっては北,北西,北東などに副屋である対(たい)(対屋(たいのや))を置き,これを廊(渡殿(わたどの))で結ぶ。東西対からは南に細長い中門廊が延び,その南端には釣殿を建てる。…

※「寝殿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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