封(漢字)

普及版 字通 「封(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

[字音] フウ・ホウ
[字訓] つちもる・ほうずる・さかい

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
(ほう)+土+寸。金文字形には、上の部分を田に作るものがある。土は土地神たる社主の形で、(社)の初文。そこに神霊の憑(よ)る木として社樹を植えた。封建のとき、その儀礼によって封ぜられる。〔説文〕十三下に「侯をするの土なり。之に從ひ、土に從ひ、寸に從ふ。(寸は)其の制度を守るなり。侯は百里、伯は七十里、子男は五十里」という。字は社樹を封植する形である。〔周礼、地官、封人〕に「そ國を封ずるには、其の稷(しやしよく)の(ゐ)(壇、お土居の類)を設け、其の四疆を封ず」とあり、〔逸周書、作解〕にその具体的な方法についての記述がある。すなわち封建のときには、国の中央に大社を建て、四方に青・赤・白・驪(り)(くろ)の土をおき、中央の黄土と合わせて白茅に(つつ)み、これを土封する。五行配当の思想を含むが、なお古義を存するところがあろう。周初の〔宜侯(ぎこうそくき)〕は、虎侯を宜地に封建する儀礼をしるし、「王、宜の宗に立ちて南)す。王、虎侯に命じて曰く、(ああ)、宜に侯となれ」と冊命(さくめい)し、礼器や土地・人民を賜与することをいう。その儀礼が、その地の宗社において行われていることが注意される。

[訓義]
1. ほうずる、封建、諸侯を任命する儀礼。古くは封土の上に木を植えた。
2. 社の境に土もりする、さかい、さかいする。社のさかいの四方に五色の土をうずめた。
3. 大きい、広い、厚い、ゆたか。
4. 封じる、とじる、ぬる、とざす。
5. 書状、封書

[古辞書の訓]
名義抄〕封 ツカ・オホキナリ・シルス・アツシ・トヅ・ムカフ・カタム 〔字鏡集〕封 カタム・ワカツ・シルス・カク・シノク・ムカフ・アツシ・ツツム・フセク・トヅ・ツカ・オホキナリ

[声系]
〔説文〕に封声としてなど二字を収める。は〔詩、風、桑中〕の〔箋〕に「(まんせい)なり」とあり、かぶらをいう。封に豊大の意がある。

[語系]
封piongはpng、pimと声の通ずるところがあり、(ほう)や(へん)は棺を下ろすために土を大きく深く掘ることをいう。封をの意に用いることもあり、土を掘り、またもりあげることをいう。(邦)peongはこの封建によって生まれた政治的領域の意である。封にまた豊大の意があり、豐(豊)phiongと声が近い。

[熟語]
封印封緘・封禁封検・封口・封号・封鎖封識・封事封璽・封実・封書・封章・封・封泥・封纏封套・封・封霊・封封姨・封・封域・封界・封外封畿封圻・封境封疆封洫・封君・封建・封・封侯・封・封国・封冊・封豕・封祀・封爵・封樹・封獣・封植・封植・封畛・封人・封簽・封禅・封壇・封地・封秩・封冢・封・封垤・封典・封土・封内・封駁・封畔・封表・封墓・封略・封勒・封禄
[下接語]
改封・開封・函封・緘封・畿封・蟻封・丘封・虚封・厳封・侯封・冊封・削封・始封・徙封・賜封・実封・爵封・受封・襲封・譲封・食封・世封・正封・素封・増封・追封・提封・典封・同封・分封・別封・密封・隆封

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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