出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
東京都八王子市と神奈川県相模原(さがみはら)市との境にある旧甲州街道の峠。標高548メートル。JR中央本線の高尾―相模湖両駅の中間にあたり、峠の下を鉄道、中央自動車道の小仏トンネルが通ずる。峠上にはここを通った文人たちの歌碑や詩碑が建てられている。地形からは高尾山と景信山(かげのぶやま)との鞍部(あんぶ)にあたり、北西の陣馬(じんば)高原を加えて、奥高尾ハイキングコースとなっている。この稜線(りょうせん)は江戸時代には江戸の山岳防衛線とされ、またここを過ぎる甲州街道は、有時のおりの江戸城からの避難地とされていた甲府城へ通ずる要道(五街道の一つ)で、東麓(とうろく)の駒木野(こまぎの)に置かれていた小仏関(国指定史跡)は、箱根、碓氷(うすい)の両関とともにとくに重要視され、出入者の取調べの厳重なことで知られていた。峠の南西麓には美女谷温泉(びじょだにおんせん)がわき出し、山宿の湯として知られる。高尾駅―小名路―小仏―小仏峠―相模湖のハイキングコースがある。
[浅香幸雄]
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東京都八王子市と神奈川県相模原市の旧相模湖町の境界,関東山地南端の峠の一つ。標高548m。多摩川の支流浅川の谷をのぼって甲州にこえる峠で,北の景信(かげのぶ)山(727m)と南の高尾山(600m)の鞍部にあたる。江戸時代には関東と甲信を結ぶ甲州街道の要所で,江戸の西側山岳防衛線上の要衝として峠の東麓の駒木野におかれた小仏関は,箱根・碓氷両関とともに関東の三関といわれた。しかし,明治に入ると甲州街道は南の高尾山麓大垂水(おおだるみ)峠(389m)経由に変更されたため,小仏峠は時代からとり残された。第2次大戦後高尾山一帯が都立公園に指定され,相模湖,浅川,高尾山,景信山などに通ずるハイキングコースに組みこまれたため再び親しまれるようになった。中央本線や中央自動車道の両小仏トンネルは,この峠の真下を通っている。
執筆者:井内 昇
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