尻切(読み)しきれ

精選版 日本国語大辞典 「尻切」の意味・読み・例文・類語

し‐きれ【尻切】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「しりきれ(尻切)」の変化した語 )
  2. しりきれ(尻切)
    1. [初出の実例]「ほろほろと物どもこぼれておつる物は、ひらあしだ、ふるしきれ、ふるわらうづ、ふるぐつ」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)二)
    2. 「相国は素絹の衣を著、尻切(シキレ)はき、長念珠後手に取って」(出典源平盛衰記(14C前)五)
  3. 底に皮をはった草履一種。〔随筆貞丈雑記(1784頃)〕
    1. 尻切<b>②</b>〈貞丈雑記〉
      尻切〈貞丈雑記〉
  4. 近世女官が腰にまとう「はつき」の俗称。〔随筆・貞丈雑記(1784頃)〕

しり‐きれ【尻切】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 尻の方が切れていること。後ろの切れていること。
  3. しりきれぞうり(尻切草履)」の略。
    1. [初出の実例]「冠の破れひしげて、巾子(こじ)のかぎりあるしりきれの尻の破れたる穿きて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)祭の使)
  4. 中途でやめて、あとを続けないこと。前半だけで後半のないこと。中途半端なこと。
    1. [初出の実例]「落語的尻きれ的の拙き文章を図に現す時、山の形が、今の膝の影に似たるによりて自分の影を益面白からず思ふ」(出典:明治卅三年十月十五日記事(1900)〈正岡子規〉)
  5. しりきればんてん(尻切半纏)」の略。

しり‐きり【尻切】

  1. 〘 名詞 〙
  2. しりきりぞうり(尻切草履)」の略。
    1. [初出の実例]「紫足袋に尻切(シリキリ)をはかせ」(出典:随筆・還魂紙料(1826)下)
  3. しりきりばんてん(尻切半纏)」の略。
    1. [初出の実例]「半纏やら羽織やら、尻限(シリキリ)薄片(うすっぺら)縞目も分らぬのを引被(ひっか)けて」(出典:恋慕ながし(1898)〈小栗風葉二五)
  4. しりきれ(尻切)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

発見学習

発見という行為の習得を目指す学習。または,発見という行為を通じて学習内容を習得することを目指す学習。発見学習への着想は多くの教育理論に認められるが,一般には,ジェローム・S.ブルーナーが『教育の過程』...

発見学習の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android