尾骨(読み)ビコツ

デジタル大辞泉 「尾骨」の意味・読み・例文・類語

び‐こつ【尾骨】

脊椎末端にある、3~5個の尾椎びついの癒合した痕跡こんせき状の骨。尾骶骨びていこつ尾閭骨びりょこつ

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精選版 日本国語大辞典 「尾骨」の意味・読み・例文・類語

お‐ぼね を‥【尾骨】

〘名〙
① 主として四つ足動物の、尾のつけ根。〔十巻本和名抄(934頃)〕
② 尻(しり)のこと。
仮名草子浮世物語(1665頃)三「しぶときともがらに逢(あふ)ては、こみつけられて尾ぼねあがらず、赤面して畳の端を毟(むし)り」

び‐こつ【尾骨】

〘名〙 脊柱の最尾端にある、三~五個の尾椎がくっついてできた骨。尾骶骨。おぼね。
太平記(14C後)三八「時に羊二の角と一の尾骨をつき折て、天にのぼりぬ」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「尾骨」の意味・わかりやすい解説

尾骨
びこつ

尾椎(びつい)の融合したものをいう。脊椎(せきつい)動物では、その名前の示すように脊椎(椎骨)からなる脊柱が体を支えている。この脊柱はその部分によって名前がつけられており、後端の部分を尾椎とよぶ。ヒトなどの霊長類のなかには、この尾椎が融合して尾骨(尾骶骨(びていこつ)ともいう)を形成する場合がある。ヒトのような尾のない動物では尾骨は痕跡(こんせき)器官である。鳥類両生類でも尾椎の先端が融合している場合があるが、これは尾端骨といって区別している。

[和田 勝]

ヒトにおける尾骨

脊柱の最尾端に位置し、仙骨に続く小骨で、3~6個(普通は4個)の尾椎からなる。椎弓を欠き、ほとんど椎骨としての形が残らず、下方に向かって順次小さくなっている。全体としては、それぞれが癒合し、小球形またはやや長い骨片をなす。胎生期には9個の尾椎が認められるが、発育中にしだいに消失してしまう。

[嶋井和世]


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改訂新版 世界大百科事典 「尾骨」の意味・わかりやすい解説

尾骨 (びこつ)
coccyx
os coccygis[ラテン]

四足動物において,脊柱の最下部(動物では最後部)をなす骨。かつて尾骶骨(びていこつ)とよばれ,いまでも俗に用いられている。尾椎という椎骨がいくつか癒合してできたものである。尾椎が尾骨をなしているのは,哺乳類のうちではヒトが最も明らかであるが,鳥類の尾椎もその終末部の若干個が癒合しており,無尾両生類(カエル類)では1本の長い釘のような尾骨になっている。鳥類のそれは尾端骨,無尾類のそれは尾柱ともいう。ヒトの尾椎は3~5個あり,これが癒合して1個の尾骨となっている。著しく退化形で体外には尾として現れないが,肛門の後の所に尾骨の先端が触れられる。
脊柱 →脊椎
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百科事典マイペディア 「尾骨」の意味・わかりやすい解説

尾骨【びこつ】

尾【てい】(びてい)骨とも。両生類以上の脊椎動物の脊柱の最下部の骨。ヒトでは,本来退縮的な3〜5個の尾椎が癒合(ゆごう)したもので,仙骨の下端に軟骨結合でつながる。その先端は肛門の後ろの皮下にある。
→関連項目脊椎

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「尾骨」の意味・わかりやすい解説

尾骨
びこつ
coccyx

脊柱の最下端にある骨で,4~5個の尾椎が癒合してできる骨。第1尾椎は椎骨の形態を残し,その上端で仙骨下端と関節を形成するが,第2尾椎以下は痕跡的な小骨塊となる。

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普及版 字通 「尾骨」の読み・字形・画数・意味

【尾骨】びこつ

尾の骨。

字通「尾」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の尾骨の言及

【骨盤】より

…寛骨の後縁は凹凸に富み,腸骨と坐骨の間に大坐骨切痕が,坐骨の後縁には坐骨棘と坐骨結節との間に小坐骨切痕がある。
[仙椎vertabrae sacralesと尾骨os coccygis]
 左右の寛骨に脊柱の下部がくさび形に挟まっている。これは5個の仙椎が合体して仙骨os sacrumという骨をなしたものである。…

【骨盤】より

…ただしこの鉢は,底に大きい穴〈骨盤出口〉があいて,直腸,尿道,女では腟(産道)を通している。骨盤をつくっている骨は第5腰椎,仙骨,尾骨および左右の寛骨である。寛骨はさらに腸骨,恥骨,坐骨の3部から成っている。…

【脊椎】より

…胸椎以外は肋骨が退化して,椎骨の一部になっているため,頸椎では横突起が肋横突起となって,これに肋横突孔という穴があいており,腰椎では退化した肋骨が肋骨突起として横突起の位置を占めている。仙椎と尾椎とはそれぞれ合体して1個の仙骨および尾骨になっている。第1,第2頸椎をそれぞれ環椎,軸椎という。…

※「尾骨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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