…一方,領主,土豪らの屋敷は,家屋,庭,菜園のほかに田,畠,林などをも取り込んで1町を超える面積をもつことがまれでなく,これらは通常土塁と堀で囲まれ,国衙の役人や荘園領主,守護などの立入りさえできない強い聖域性と私有性を備えていた。 屋敷は,規模の大小はあれこのように家の建つ敷地を意味するのが原義であるが,地方領主の場合,中世前期を中心にしばしばその勢力の根拠地となる所領全体が屋敷所(やしきどころ)と呼ばれ,さらには屋敷の語のみで表現されることもあった。《曾我物語》巻二にみえる〈御先祖八満(八幡)殿の御子孫,東八か国を御やしきどころにさせ給ふべきなり〉という用例は前者の一例であり,寛喜2年(1230)2月20日付小山朝政の譲状(〈小山文書〉)で,譲与すべき下野国の所領が〈寒河御厨 小山庄と号す。…
※「屋敷所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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