朝日日本歴史人物事典 「岩井半四郎(4代)」の解説
岩井半四郎(4代)
生年:延享4(1747)
江戸中期の歌舞伎役者。江戸生まれ。人形遣い辰松(西川)重三郎の子。2代目松本幸四郎(のちの4代目市川団十郎)の門弟。松本長松,2代目七蔵を経て明和2(1765)年に半四郎を襲名。屋号雑司谷屋,大和屋。俳名杜若。俗称は容貌から「お多福半四郎」,別荘の地から「目黒の太夫」「白金の太夫」。明治前期の8代目半四郎に至る後期江戸歌舞伎界の女形の名家岩井家の元祖。岩井半四郎の名跡は3代まで大坂の座本を兼ねた立役であったが,3代目半四郎の女婿でもあった師の団十郎がその名が絶えるのを惜しんで,門弟を岩井家の養子として継がせたのである。娘役,世話女房役をはじめとして女形芸全般に秀で,若衆形から荒事に至るまで広く演じて成功した。所作事にも長じている。当たり役も多数知られているが,女形としては次の時代に多く演ぜられる生世話物の女房芸の創始者とされている。同時代の3代目瀬川菊之丞と共に当代女形の双璧と称えられた。<参考文献>伊原敏郎『近世日本演劇史』
(池上文男)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報