出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
略称CM。飛行の大部分を動力飛行する有翼ミサイル。無人の小型ジェット機で、核または通常弾頭を搭載し、艦艇や地上目標を攻撃するのに用いられる。空中発射巡航ミサイルAir Launched Cruise Missile(ALCM)、陸上発射巡航ミサイルGround Launched Cruise Missile(GLCM)、水中(水上)発射巡航ミサイルSea Launched Cruise Missile(SLCM)などの種類がある。また射程2500キロメートル程度の戦略用と、射程の短い戦術用とがある。核弾頭や通常弾頭のほかに、生物・化学兵器弾頭をつけるものも計画されている。いずれも外見はほとんど同じ形をしており、弾頭の種類の区別がつけにくい。巡航ミサイルの祖先は第二次世界大戦中のドイツのV1号である。第二次世界大戦後、ソ連、アメリカはこれをベースに独自のミサイルを開発してきた。ソ連の開発した巡航ミサイルは広く世界に拡散し、世界の脅威となっており、有名なものとしてシルクワームがある。アメリカの代表的な巡航ミサイルは海軍のトマホーク(SLCN)とB‐52爆撃機から空中発射する空軍のCALCM(Conventional Air Launched Cruise Missile)の2種類がある。
近年の巡航ミサイルは、速力は音速以下であるが、超低空飛行ができるので、弾道ミサイルよりもレーダーに捕捉(ほそく)されにくい。またコンピュータに目標までの地図を記憶させ、レーダーで見た地形と照合しながら進路を修正するTERCOM(Terrain Contour Matching system)(ターカム)という誘導方式の採用によって、命中精度がきわめてよくなった。ただし、地形を利用する場合、ほとんど平坦な海面やつねに起伏が変わる砂漠には使用できないので、ほかの方式も利用される。誘導方式は1990年代からGPS(Grobal Positioning System、全地球測位システム)方式が採用されるようになり、人工衛星からの情報できわめて命中精度が高くなった。湾岸戦争や1998年8月スーダンとアフガニスタンに対するアメリカの対テロ報復攻撃、さらに、同年12月の米英軍によるイラク攻撃(「砂漠のキツネ作戦」)、99年3月から6月のNATO(ナトー)(北大西洋条約機構)軍によるユーゴスラビア(新ユーゴスラビア)空爆(コソボ紛争)ではトマホークが多数使用された。ユーゴ空爆ではCALCMも使用された。
[服部 学]
『小都元著『世界のミサイル』(1997・新紀元社)』
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…さらにこれらミサイル技術をもとに,人工衛星,惑星ロケット等の打上げが進められている。 第2次大戦後の冷戦下における米ソの戦略は,ミサイル技術,核弾頭技術等を背景に時代とともに変化してきているが,ICBMと潜水艦発射弾道ミサイルsubmarine launched ballistic missile(略号SLBM)および核爆弾または空中発射巡航ミサイルair‐launched cruise missile(略号ALCM)搭載の戦略爆撃機を戦略部隊の3本柱として組み立てられてきたことは変りない。また,戦略核ミサイルより射程の短い中距離核ミサイルまたは戦域核ミサイルと呼ばれる一群のミサイルも配備されてきた。…
※「巡航ミサイル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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