江戸後期の俳人。姓は建部,名は英親。字は族父。別号は黄雀,秋香庵など。武蔵国千住の人。のち関屋に隠棲。書家山本竜斎の子で書をよくし,筆法は雄勁(ゆうけい)である。画を谷文晁に学び,当時書家として名高かった亀田鵬斎から,その画は鳥羽僧正の風ありと称された。俳諧は白雄(しらお)の門。成美,道彦とともに江戸の三大家と仰がれ,士朗,大江丸,乙二(おつに)ら当代知名の人々と盛んに俳交を重ねている。酒に親しみ,優雅な江戸趣味を楽しむ文人肌の人物で,その人柄を反映して句は洒脱な諧謔の気風が漂う。晩年は,もっぱら月並句合の選者として活躍した。編著は《徳万歳》《せきやでう》《曾波可理》ほかすこぶる多い。追善集《星の林》《谷はゝき集》。〈山寺や峰にさされて更衣〉(《曾波可理》)。
執筆者:石川 真弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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