左遷(読み)サセン

デジタル大辞泉 「左遷」の意味・読み・例文・類語

さ‐せん【左遷】

[名](スル)《昔、中国で、右を尊び左を卑しんだところから》低い地位官職におとすこと。左降。「閑職左遷される」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「左遷」の意味・読み・例文・類語

さ‐せん【左遷】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 昔、中国で、右を尊び左を卑しんだところから ) 朝廷内官から外官にさげること。また、一般に、それまでよりも低い官職、地位におとすこと。中央から地方に移すこと。左降。さすらい。
    1. [初出の実例]「大伴宿禰上足〈略〉、左遷多褹嶋掾」(出典:続日本紀‐天平宝字四年(760)五月戊戌)
    2. 「太宰権帥に左遷(サセン)せられたまひしことあり」(出典:読本椿説弓張月(1807‐11)残)
    3. [その他の文献]〔史記‐周昌伝〕
  3. 穴一(あないち)の遊びで、銭が穴にはいらないで外へ出ること。〔随筆・嘉良喜随筆(1750頃)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「左遷」の読み・字形・画数・意味

【左遷】させん

位をおとす。左降。〔史記、韓信伝〕沛立ちて王と爲る。韓信從ひて中に入る。廼(すなは)ち王にきて曰く、項王、王の將は地にして、王のみ獨りく此(ここ)に居る。此れ左なり。

字通「左」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「左遷」の意味・わかりやすい解説

左遷
させん

官職をそれまでよりも低い位置に下げられること、転じて一般に、高い地位から低い地位に落とされることをいう。古く中国で、右を尊んで上位とし、左を下位としたところから出たことばで、朝廷の内官から外官に下げられること、あるいは中央から地方へ移される(流される)ことなどをいう。なお、江戸時代には、遊戯一種「穴一」の用語として、銭が穴に入らず外へ流れ出ることをいったが、これも「流される」の意を受けたものといわれる。

[宇田敏彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

メタン

化学式 CH4 。最も簡単なメタン系炭化水素で,天然ガスの主成分をなしている。また石炭ガスにも 25~30%含まれる。有機物の分解,たとえばセルロースの腐敗,発酵の際に生成され,沼気ともいわれる。また...

メタンの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android