平衡定数(読み)ヘイコウテイスウ

デジタル大辞泉 「平衡定数」の意味・読み・例文・類語

へいこう‐ていすう〔ヘイカウ‐〕【平衡定数】

反応化学平衡に達したとき、温度一定であれば、反応物質と生成物質の濃度あるいは活動度によらず一定の値を示す定数

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精選版 日本国語大辞典 「平衡定数」の意味・読み・例文・類語

へいこう‐ていすうヘイカウ‥【平衡定数】

  1. 〘 名詞 〙 化学反応において反応系と生成系の関係を表わす定数。化学反応が平衡に達したとき、反応系の物質をA、B、…、生成系の物質をM、N、…とすると、化学反応は aA+ bB+… mM+nN+… と表わせる。αをそれぞれの物質の活動度とするとの関係が成り立つ。これを質量作用の法則というが、ここでKをこの反応の平衡定数という。

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化学辞典 第2版 「平衡定数」の解説

平衡定数
ヘイコウテイスウ
equilibrium constant

平衡状態にある化学反応系において,個々の反応物質および生成物質の濃度(あるいは分圧)を関係づける定数.一般に,

aA + bB + … = l L + mM + …

化学平衡において,各物質の濃度を cAcB …;cLcM,…とするとき,

の比は一定温度では一定であり,Kc を濃度平衡定数という.また,気相反応において各物質の濃度cのかわりに分圧pを用いたとき,上式に対応する式で表される定数 Kp を圧平衡定数という.KcKp を総称して平衡定数という.慣例として,左辺(反応物質)の諸量を分母に,右辺(生成物質)の諸量を分子にとる.気相反応において KcKp の間には,

KpKc(RT)Δn

Δn = (lm + …) - (ab + …)

の関係がある.ここで,R気体定数Tは絶対温度である.上記の KcKp を与える式は,平衡状態においては反応をわずかに右へ進行させても全系の自由エネルギーは不変であることから,熱力学的に導くことができる.[別用語参照]質量作用の法則

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「平衡定数」の意味・わかりやすい解説

平衡定数
へいこうていすう
equilibrium constant

化学反応が平衡に達したとき、原系と生成系との量的関係を示す定数。次のような化学反応
  aA+bB+cC+……
  lL+mM+nN+……
の平衡では、質量作用の法則が適用され、それぞれの濃度(正しくは活動度)の間には

が成り立ち、Kは温度さえ一定ならば濃度によらない一定値となる。このKを平衡定数という。

 平衡定数は温度が一定ならば変わらないが、温度を変えると、絶対温度T関数

で示されるように変化する。ここでRは気体定数、ΔHは反応熱である。この関係から、発熱反応ΔH<0)では温度を上げるとKが減少、すなわち平衡は左に偏り、吸熱反応ΔH>0)では右に偏ることがわかる。

[戸田源治郎]

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法則の辞典 「平衡定数」の解説

平衡定数【equilibrium constant】

ノルウェーグルベルウォーゲによって1867年にはじめて導かれた質量作用の法則*によれば,化学平衡においては,反応系の物質の濃度の乗積と,生成系の物質の濃度の乗積の比は条件定数となり,一定の温度・一定の圧力のもとでは不変である.この比のことを平衡定数という.すなわち

aAbB+… &lrarrow; pPqQ+…

なる化学平衡において,各物質の濃度をCACB,…,CPCQ,…としたとき

を平衡定数(濃度平衡定数)という.正確には活量濃度を用いる必要がある.この式の右辺は「濃度商」とも呼ばれる.気体反応の場合には CACB,…の代わりに分圧 pApB,…を用いると「圧平衡定数」が得られる.こちらは無次元の量である.

平衡定数【equilibrium constant】

アロメトリー,すなわち相対成長に基づく非比例的成長関係を表す分野で,生体部分(器官)の大きさを yx を他の部分(全体の大きさ,あるいは問題の器官以外の全部,ときには長さと重さを表すこともある)としたとき,ybxa の形で表されることをハクスレイ(J. S. Huxley)やテシエ(G. Tessier)が提唱した.ここで ab は定数で,b は初成長指数,a は平衡定数と呼ばれる.

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百科事典マイペディア 「平衡定数」の意味・わかりやすい解説

平衡定数【へいこうていすう】

可逆的な化学反応において正・逆反応の速度が等しくなったときを化学平衡という。ここで(図)の化学反応が平衡に達すると,そのときの比K=[M](m/)・[N](n/)…/[A](a/)・[B](b/)…が一定という関係が成り立つ(質量作用の法則)。ここでKは各物質の濃度(または活量)[A],[B]…に無関係な定数で平衡定数と呼ばれ,温度Tの関数で, d(ln K)/dT=ΔH/RT2(ΔHは反応によるエンタルピー変化,Rは気体定数)の関係式が成立する。したがって温度をあげると発熱反応では平衡は左にかたより,吸熱反応では右にかたよる。
→関連項目化学平衡

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栄養・生化学辞典 「平衡定数」の解説

平衡定数

 ある可逆的な化学反応が一定の条件で平衡に達すると正反応と逆反応が同じ早さになり,見かけ上,反応が進んでいない状態にみえる.この状態では,k=[A][B]/[AB]のkが一定の値を示す.このkを平衡定数といい,可逆反応の性質の重要な指標となる.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「平衡定数」の意味・わかりやすい解説

平衡定数
へいこうていすう

質量作用の法則」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の平衡定数の言及

【化学反応】より

…化学反応, aA+bB+……⇄pP+qQ+……に対して,化学平衡の条件dG=0から,化学平衡に達したとき濃度比,は与えられた条件のもとで一定となることが示される。Kを平衡定数と呼び,この関係を質量作用の法則あるいは化学平衡の法則という。反応の標準自由エネルギー変化⊿G0は平衡定数Kと次の関係, ⊿G0=-RTlnKがある。…

【化学平衡】より

…化学平衡に達したとき,反応系の初めの組成によらず次の平衡濃度の比は温度のみによる定数となる。これを平衡定数という。この関係は〈質量作用の法則〉と呼ばれ,1864年C.M.グルベルグとP.ボーゲにより反応速度に基づく考察から提出され,J.H.ファント・ホフにより一般化され,熱力学に基づいて証明された。…

【質量作用の法則】より

…物質A(amol),B(bmol),……が反応して,M(mmol),N(nmol),……を生成する次のような反応 aA+bB+……⇄mM+nN+……が化学平衡に達したとき,各物質i(i=A,B,……)の濃度Ciの間に次の関係が成り立つ。ここでKは温度,圧力に依存するが,濃度にはよらず,平衡定数と呼ばれる。化学平衡において一般に成り立つこの関係(1)を質量作用の法則という。…

※「平衡定数」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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