普及版 字通 「幾(漢字)」の読み・字形・画数・意味
幾
常用漢字 12画
(旧字)
12画
[字訓] きざし・かすか・あやうい・いく
[説文解字]
[金文]
[字形] 会意
(し)+戈(か)。〔説文〕四下に「なり。殆(あやふ)きなり。(いう)に從ひ、戍(じゅ)に從ふ。戍は兵守なり。(幽)にして兵守するはきなり」という。を幽、幽微の意より危殆の意を導くものであるが、は絲(糸)の初文。戈に呪飾として著け、これを用いて察のことを行ったのであろう。〔周礼、天官、宮正〕「王宮の戒令禁を掌り、~其の出入をす」、〔周礼、地官、司門〕「管鍵を授けて、~出入する不物のをす」など、みな呵・察の意に用いる。ことを未発のうちに察するので幾微の意となり、幾近・幾殆の意となる。
[訓義]
1. きざしをしらべる、きざしをみつけてはらう。
2. きざし、ことのはじめ、かすか、しずか、ことのあらわれぬもの。
3. あやうい、あやうい状態に近い、ほとんどその状態となる。
4. いのる、ねがう、こいねがう、のぞむ。
5. ほとんど、つきる、おわる。
6. いく、いくばく、しばしば。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕 ホトホト・チカシ・シメス・コレ・イヅレ・マツ・ネガフ・ノゾム・アヤフシ・ヤウヤク・スミ・イクバク/庶 コヒネガフ/何 イクバク・イクソバク/多 イクバクバカリ 〔字鏡集〕 ヤウヤク・アヤフシ・ネガフ・アキラカス・ホ(ト)ホ(ト)シ・イクハク・ノゾク・シメス・ホトホト・チカシ・イツレ・マツ・ハカリ・コレ
[声系]
〔説文〕に声として・・・・(機)・畿など十四字を収める。ほかに血部五上に珥()を示す字()、鬼部九上に鬼俗の意を示す字()があり、がそのような呪祝の法と関係のある字であることが知られる。なお〔広韻〕に「はなり」とあり、みな察の呪儀に関する字であろう。
[語系]
kii、gii、git、xitは声近く、幾殆・幾近の意がある。声の字には、の声義を承けるものが多い。
[熟語]
幾家▶・幾回▶・幾歳▶・幾時▶・幾多▶・幾度▶・幾重▶・幾人▶・幾処▶・幾般▶・幾番▶・幾片▶・幾遍▶・幾位▶・幾音▶・幾運▶・幾何▶・幾会▶・幾諫▶・幾希▶・幾危▶・幾及▶・幾許▶・幾権▶・幾幸▶・幾策▶・幾死▶・幾珥▶・幾事▶・幾初▶・幾臣▶・幾深▶・幾尽▶・幾先▶・幾卒▶・幾殆▶・幾頓▶・幾敗▶・幾微▶・幾望▶・幾亡▶・幾密▶・幾慮▶
[下接語]
見幾・失幾・庶幾・心幾・神幾・尽幾・先幾・造幾・知幾・沈幾・投幾・年幾・万幾・赴幾・亡幾
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報