御先(読み)オサキ

デジタル大辞泉 「御先」の意味・読み・例文・類語

お‐さき【御先】

他人を敬って、その人の「先」をいう語。「お先に失礼します」「どうぞお先へ」
前途将来。→御先真っ暗
人の手先に使われる者を軽んじていう語。「お先に使われる」

み‐さき【御先/前】

貴人などの先払い。前駆。
神が使者として遣わす動物。カラス・キツネなど。
変死人の霊魂。特に、西日本地方でいう。

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精選版 日本国語大辞典 「御先」の意味・読み・例文・類語

お‐さき【御先】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「お」は接頭語 )
  2. ある人を敬って、その「さき(先)」をいう語。
    1. [初出の実例]「まづおさきへござりませ」(出典:狂言記・泣尼(1730))
  3. 人を利用して使うこと。また、その利用される者。
    1. [初出の実例]「しっかい客をばおさきにして、いろ男の辻うら」(出典:洒落本・突当富魂短(1781)深川の遊び)
  4. ( 形動 ) 何か事があるとすぐに騒ぎたてたり、夢中になったりするような軽はずみなさま。
    1. [初出の実例]「割印のすわった顔見世の手ぬぐいをば湯にも入れずに大事にしているおさきなる人物なり」(出典:洒落本・船頭深話(1802)二)
  5. ( 形動 ) 新たに加わって間もないさま。新参(しんざん)
    1. [初出の実例]「まだ此土地は、お先でゐながら、今までゐた所の風をすらア」(出典:洒落本・寸南破良意(1775)職人)
  6. おさきぎつね(御先狐)」の略。

み‐さき【御先・御前】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「み」は接頭語 )
  2. 貴人などの先に立って道案内などをすること。先導をすること。また、その位置や、その役。みさきおい。みさきはらい。先駆。前駆。
    1. [初出の実例]「天つ神の御子天降り坐すと聞きつる故に、御前(みさき)に仕へ奉らむとして」(出典古事記(712)上)
    2. 「河原の程、御さきの火も、ほのかなるに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
  3. 神が使者として遣わす動物。特に、烏・狐・猿などをいう。御先神。御先物。
    1. [初出の実例]「其あたりに玉津島の御産有とて、幣帛を捧げければ、みさきと成て出現有体也」(出典:申楽談儀(1430)能書く様、その一)
  4. 変死した人の霊魂。人にとりついて引き込んだりすると信じられている。特に、西日本地方でいう。みさきがみ。
    1. [初出の実例]「この方面でいふところのミサキは〈略〉主として、人間の非業の死を遂げて、祀り手もないやうな凶魂を意味する」(出典:みさき神考(1955)〈柳田国男〉六)

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