御殿(読み)ごてん

精選版 日本国語大辞典 「御殿」の意味・読み・例文・類語

ご‐てん【御殿】

〘名〙
① 身分の高い人の邸宅を敬っていう語。また、造りが立派で豪華な邸宅。
※観智院本三宝絵(984)中「人々あやしみて御殿の戸をあけてみるに」
② (天皇が日常住まわれたところから) 「せいりょうでん(清涼殿)」の別名
※建武年中行事(1334‐38頃)正月「御殿の母屋御簾をたれて」
社殿。やしろ。
平家(13C前)一「八王子の御殿より鏑箭(かぶらや)の声いでて」
近世将軍諸大名が各地に設けた、宿泊、休憩のための施設。
※雑俳・柳多留‐八(1773)「ふところの真っ四角なが御殿なり」
⑥ 「ごてんば(御殿場)(一)」の略。
※雑俳・柳多留‐一〇七(1829)「桜田は御殿南北濡場書き」

み‐あらか【御殿】

〘名〙 (「み」は接頭語) 宮殿をうやまっていう語。ごてん。おおとの。
書紀(720)神代上(兼方本訓)「斑(ふち)駒を逆剥(さかはきには)きて、殿(ミアラカ)の内に投入れたまふ」

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デジタル大辞泉 「御殿」の意味・読み・例文・類語

ご‐てん【御殿】

貴人住宅を敬っていう語。また、構えのりっぱな邸宅。
清涼殿せいりょうでんの別名。
社殿
「八王子の―より鏑箭かぶらやの声いでて」〈平家・一〉
[類語]宮殿宮廷王宮

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普及版 字通 「御殿」の読み・字形・画数・意味

【御殿】ごてん

宮殿。〔後漢書、霊帝紀〕(熹平五年)壬午、殿の後の槐樹、自ら拔けて倒(さかしま)に豎(た)てり。

字通「御」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の御殿の言及

【按司】より

…近世になってもその性格は基本的に変わらなかったが,按司地頭とも称され総地頭とともに両総地頭の名で呼ばれる琉球王国の中枢的存在であった。その屋敷を俗に御殿(うどうん)という。一般に領有する間切の名を冠して〈○○按司〉と称し,浮織(うきおり)の冠をかぶるのが通例である。…

【御殿・御茶屋】より

…戦国時代末期から江戸時代にかけて,織田信長・豊臣秀吉,徳川家康以下の各将軍や諸大名の城郭内,あるいは彼らの交通休泊に供するために設けられた殿舎,別邸をいう。御殿とは元来,天皇の清涼殿などをさし,後には貴族や大名・社寺の殿舎をふくめていうようになったが,各時代の殿舎構成は,古代は寝殿,中世は主殿,近世は書院を中核としていた。一方,御茶屋は戦国大名などが領内を巡歴,遊猟する途次,休憩して茶の湯を興行する茶亭にはじまり,江戸時代には大名の参勤交代時の休泊所としても利用された。…

【城】より

…現存の天守については表を参照されたい。(5)御殿 安土城の天主や行幸御殿は,狩野派の手になる金碧障壁画で飾られていたが,大坂城本丸には,その規模をはるかに凌駕する二つの御殿があった。対面所を中心とする表御殿と,秀吉の私的住居である奥御殿がそれで,また山里(やまさと)と称する庭園があり,松林の奥に茶室がつくられていた。…

※「御殿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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