心に入る(読み)ココロニイル

デジタル大辞泉 「心に入る」の意味・読み・例文・類語

こころ・る

(「入る」が四段活用の場合)
心に深くしみる。
何故なにゆゑか思はずあらむひもの緒の―・りて恋しきものを」〈・二九七七〉
気に入る。心にかなう。
「なのめならず―・りて思ひいらるるもはかなし」〈総角
納得する。よくわかる。
「西へ行く月をやよそに思ふらん―・らぬ人のためには」〈山家集・中〉
(「入る」が下二段活用の場合)
深く心に留める。熱中する。
学問に―・れて、遊びの道にも入りたち給へる時に」〈宇津保藤原の君〉
関心を持つ。親身になる。
「算を―・れて教へけるに」〈今昔・二四・二二〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「心に入る」の意味・読み・例文・類語

こころ【心】 に 入(い)

  1. [ 一 ] ( 「入る」が自動詞四段活用の場合 )
    1. 心にしみこむ。深く心に留まる。印象が深く感ぜられる。気になる。
      1. [初出の実例]「何故か思はずあらむ紐の緒の心爾入(こころニいり)て恋しきものを」(出典:万葉集(8C後)一二・二九七七)
      2. 「山の端は名のみなりけり見る人の心にぞいる冬の夜の月〈大弐三位〉」(出典:後拾遺和歌集(1086)冬・三九一)
    2. 気に入る。心にかなう。
      1. [初出の実例]「もの宣へる様などの、なのめならず心に入りて思ひいらるるもはかなし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)総角)
    3. 気のりがする。興に入る。感興をもよおす。
      1. [初出の実例]「心に入らで、あしくなむ詠みたまひける」(出典:大和物語(947‐957頃)一九)
    4. 専念する。熱中する。身を入れる。
      1. [初出の実例]「舞せさせ給ふ。ましてこれはあけくれ心にいりたりければ、になし」(出典:宇津保物語(970‐999頃)楼上下)
      2. 「心にいりて習へば、一とせ過ぎて、社司『よし』と云ひて出でたたす」(出典:読本・春雨物語(1808)捨石丸)
    5. 理解する。会得する。ふに落ちる。
      1. [初出の実例]「易往無人の文の心を。西へ行く月をや余所(よそ)に思ふらん心にいらぬ人のためには」(出典:山家集(12C後)中)
  2. [ 二 ] ( 「入る」が他動詞下二段活用の場合 )
    1. 心をこめる。熱心にする。深く心に思いこむ。
      1. [初出の実例]「仏の御名を御心に入れて、御声はいとたふとくて申し給ふを聞きて、女はいたう泣きけり」(出典:伊勢物語(10C前)六五)
      2. 「一夏の間はいかにもこころに入て勤め、退転なく行ひて居たりける」(出典:義経記(室町中か)三)
    2. 気に入る。関心をもつ。目をかける。
      1. [初出の実例]「仲忠とかいふすきものを心にいれて、夜昼遊び女据ゑて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)祭の使)
    3. 心にとめる。気にかける。気をつける。
      1. [初出の実例]「ことに、心に入れても思はぬことなれば、言ひさしてものも言ひやらでありければ」(出典:平中物語(965頃)三一)

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