精選版 日本国語大辞典 「心地」の意味・読み・例文・類語
ここ‐ち【心地】
〘名〙
① 心持。気持。気分。
※竹取(9C末‐10C初)「あれも戦はで、心ちただ痴(し)れに痴れて、守り合へり」
※土左(935頃)承平五年二月五日「恋しきここちしばし休めて、またも恋ふる力にせんとなるべし」
※枕(10C終)一九五「されど、人をば知らじ、ただ心ちにさおぼゆるなり」
※紫式部日記(1010頃か)寛弘五年八月二六日「絵にかきたる物の姫君の心ちすれば、口おほひを引きやりて物語の女の心ちもし給へるかなといふに」
※平家(13C前)九「ただ平家の人々は、いつも氷にとぢこめられたる心地して、寒苦鳥にことならず」
※落窪(10C後)二「入りてけりと、心地もなくて」
※源氏(1001‐14頃)空蝉「たどらむ人は、心得つべけれど、まだいと若き心地に、〈略〉えしも思わかず」
④ 魂。精神。こころ。
※平中(965頃)三八「心ちに思ふことなれば、くやしと思ひながら、とかく思ひ乱るるに」
※源氏(1001‐14頃)東屋「いともいとも恥かしくつつましかるべきものかなと思ふに、すずろに心ちもあくがれにけり」
⑤ 気分の悪いこと。病気。やまい。
※落窪(10C後)三「中納言忽(たちま)ちに御心ちもやみてめでたし」
⑥ なかに含むこと。意味。わけ。
しん‐じ ‥ヂ【心地】
〘名〙 (「しんち」とも) 仏語。
① (戒は心をよりどころとするところから) 戒のこと。〔梵網経‐下〕
② 心をよりどころとして菩薩は修行するところから、菩薩の修行階位におけるこころのこと。単にこころをもいう。
※古今(905‐914)真名序「夫和歌者、託二其根於心地一、発二其華於詞林一者也」
しん‐ち【心地】
〘名〙 ⇒しんじ(心地)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報