心憂(読み)こころうい

精選版 日本国語大辞典 「心憂」の意味・読み・例文・類語

こころ‐う・い【心憂】

〘形口〙 こころう・し 〘形ク〙
① 情ない。つらい。心苦しい。
大和(947‐957頃)一〇三「そのあしたに文もおこせず、夜まで音もせず。心うしとおもひあかして」
徒然草(1331頃)五二「仁和寺にある法師、年よるまで石清水を拝まざりければ、心うく覚えて」
② いとわしい。面白くない。遺憾である。
平中(965頃)二八「誰ぞ。心うく、これを言はざりけること」
方丈記(1212)「濁悪の世にしも生れ合ひて、かかる心うきわざをなん見侍りし」
こころう‐が・る
〘自ラ四〙
こころう‐げ
〘形動〙
こころう‐さ
〘名〙

こころ‐う【心憂】

(形容詞「こころうし」の語幹)
① (多く「あな」などの感動詞と呼応して文の詠嘆的な終止に用いる) 心につらく思うことよ。情ないことよ。うらめしいなあ。
※宇津保(970‐999頃)国譲下「あな心うや。さも知らずかし」
源氏(1001‐14頃)澪標「何とかや。心うや。〈略〉いでや、いかでか見え奉らむ」
② (助詞「の」を伴って連体修飾語となり、詠嘆を表わす) なんとまあ情ない。なんとまあうらめしい。
※宇津保(970‐999頃)祭の使「あな、心うのことや」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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