応身(読み)オウジン

デジタル大辞泉 「応身」の意味・読み・例文・類語

おう‐じん【応身】

《〈梵〉nirmāṇa-kāyaの訳語》仏の三身の一。世の人を救うため、それぞれ素質に応じてこの世に姿を現した仏。釈迦しゃかなど。

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精選版 日本国語大辞典 「応身」の意味・読み・例文・類語

おう‐じん【応身】

〘名〙 仏語
① (nirmāṇa-kāya の訳語) 仏の三身である法身報身・応身の一つ衆生を救うためにその機根に応じた種々の姿をとって現われた仏のこと。応化身(おうげしん)
※本朝文粋(1060頃)一〇・摂念山林詩序〈紀斉名〉「夫応身早滅、仏日之光西蔵」 〔最勝王経‐二〕
② (sambhoga-kāya の訳語) 仏の三身のうちの報身のこと。〔摂大乗論‐上〕
仏身を真身と応身に分ける中の一つ。〔華厳法界義鏡(1295)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「応身」の意味・わかりやすい解説

応身
おうじん

仏教用語。サンスクリット語ニルマーナカーヤnirmāakāyaの漢訳。応化身(おうげしん)、化身(けしん)、変化身(へんげしん)ともいう。人々に応じてこの世に現れた仏の身体意味。仏が人々を教化救済するために、教化すべき人々の能力や素質に応じ、かりに肉身をとって現した仏身をいう。仏陀(ぶっだ)(釈迦(しゃか))滅後、その人格をどうみるかによって種々の仏身説が展開され、応身は仏の三身(法身(ほっしん)、報身(ほうじん)、応身)の一つにあげられる。また応身と化身とを区別したときには、四身(法身、報身、応身、化身)の一つとされる。応身説は大乗仏教において、真理(法)より現れたとする人格身説である。

坂部 明]

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百科事典マイペディア 「応身」の意味・わかりやすい解説

応身【おうじん】

仏が衆生(しゅじょう)を教化するために現れる身体。三身(さんじん)の一つ。歴史的には釈迦菩薩など,人の目に見ることのできる仏身をいう。
→関連項目大日如来法身

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「応身」の意味・わかりやすい解説

応身
おうじん
nirmāṇakāya

仏教用語。法,報,応の三身の一つ。この世に姿を現した仏身の意味。現身ともいう。歴史上悟りを成就した釈迦牟尼仏も応身であり,十地以前の菩薩,声聞・縁覚の二乗,凡夫などの目に見ることのできる仏身も応身である。さらに,修行を完成して仏となった仏身すなわち報身 (ほうじん) と同じ意味に用いることもある。

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世界大百科事典(旧版)内の応身の言及

【仏身論】より

…大乗仏教になって仏身に関する思索が深まり,中観派の竜樹,さらには瑜伽行派の弥勒(マイトレーヤ),無著世親らの論師たちによって最終的に3種の仏身をたてる〈三身説〉が成立した。三身とは(1)法身(ダルマ・カーヤdharma‐kāya),(2)報身(サンボーガ・カーヤsambhoga‐kāya),(3)応身(化身,ニルマーナ・カーヤnirmāṇa‐kaya)の3種,あるいは(1)自性身(スババーバ・カーヤsvabhāva‐kāya),(2)受用身(サンボーガ・カーヤsambhoga‐kāya),(3)変化身(ニルマーナ・カーヤnirmāṇa‐kāya)の3種をいう。これら三つは論師あるいは宗派によって微妙に解釈を異にするが,前者の三身を略説すると次のごとくである。…

【仏陀】より

…仏教では仏陀として過去七仏,未来仏としての弥勒仏,過去・現在・未来の三千仏などが考えられるようになった。また三身の説,すなわち真理そのものとしての法身(ほつしん)仏(たとえば毘盧遮那(びるしやな)仏),願を立てて浄土の主となり衆生の救済をはかる報身(ほうじん)仏(たとえば阿弥陀),娑婆世界に人間の姿をとって現れる応身(おうじん)仏(たとえば釈迦牟尼仏)の説が出現した。仏(ぶつ)仏教【定方 晟】。…

※「応身」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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