怒髪天を衝く(読み)ドハツテンヲツク

デジタル大辞泉 「怒髪天を衝く」の意味・読み・例文・類語

怒髪どはつてん

怒髪が冠をつき上げる。激しい怒りの形相になる。怒髪冠を衝く。
[補説]「怒髪、天を衝く」と区切る。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

故事成語を知る辞典 「怒髪天を衝く」の解説

怒髪天を衝く

激怒しているようすのたとえ。

[使用例] 異教徒席の中からあかい髪を立てた肥った丈の高い人が東洋風に形容しましたら正に怒髪天を衝くという風で大股祭壇に上って行きました[宮沢賢治*ビジテリアン大祭|1934]

[由来] 「史記りんしょうじょ伝」に載っている話から。紀元前三世紀、中国の戦国時代のこと。ちょうという国の家臣藺相如は、ある宝石を携えて、それを自国領地と交換したいと申し入れてきたしんと交渉するために、秦の都まで赴きました。しかし、秦の王は、宝石を取り上げて領地は与えないつもり。それを見抜いた藺相如は、いったんはその宝石を秦王に渡したものの、ちょっとした理由をつけて取り戻します。そして、柱を背にして宝石を手にしたまま、秦王の前で仁王立ちとなり、「怒髪上がりて冠を衝く(激しい怒りのために、逆立った髪の毛が冠をつきあげた)」。そして、「私を殺せば、その瞬間にこの宝石は砕け散ることでしょう」と脅しをかけました。その気迫に押された秦王は、結局、宝石を手に入れるのをあきらめたのでした。なお、日本では、「冠」を「天」に変えた形で、定着しています。

[解説] この話が元になって生まれたのが、故事成語としての「完璧です。

〔異形〕怒髪冠を衝く。

出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報

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