完璧(読み)カンペキ

デジタル大辞泉 「完璧」の意味・読み・例文・類語

かん‐ぺき〔クワン‐〕【完璧】

[名・形動]《傷のない宝玉の意から》欠点がまったくないこと。また、そのさま。「完璧を期する」「完璧演技
[派生]かんぺきさ[名]
[類語]完全万全十全完全無欠満点両全金甌きんおう無欠百パーセントパーフェクト全くまった文句なし大丈夫無傷間然かんぜんする所がない水も漏らさぬ非の打ち所がない

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精選版 日本国語大辞典 「完璧」の意味・読み・例文・類語

かん‐ぺき クヮン‥【完璧】

〘名〙 (形動)
① (瑕(きず)のない宝玉の意から) 欠点のないこと。完全無欠ですぐれているさま。また、残るところなく、すべてにわたるさま。
※東京新繁昌記(1874‐76)〈服部誠一〉三「皆其の謬誤を改正し、其の闕遺を増補し、以て其の完璧を為す」
オリンポスの果実(1940)〈田中英光〉一三「この通俗的な抒情画を、更に、完璧なものにしてゐました」
② (中国、戦国時代趙の藺相如(りんしょうじょ)が、城一五と交換するために和氏(かし)の璧を持って秦に使いしたが、昭王が約束の城を与えないので、身命を賭してその璧をとり返して帰ったという「史記‐藺相如伝」にみえる故事から) 大事なことを全うすること。大切なものをとりもどすこと。還璧。

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故事成語を知る辞典 「完璧」の解説

完璧

完全で、欠けている点がまったくないこと。

[使用例] この通俗的な抒情画を、更に、完璧なものにしていました[田中英光*オリンポスの果実|1940]

[使用例] その言葉は全く意味不明だった。日本語を完璧に話せるはずの父でさえ、一言も理解できなかった[島田雅彦彗星住人|2000]

[由来] 「史記りんしょうじょ伝」に見える話を背景とすることば。「へき」とは、中国で昔から尊ばれている、すいなどの宝石。紀元前三世紀、中国の戦国時代のこと。ちょうという国の王は、「の璧」と呼ばれる有名な宝石を手に入れました。ところが、強国しんから、その璧を一五の城と交換したい、と申し入れがありました。しかし、秦は武力を頼みに、璧だけ奪って城を与えるつもりがないと見抜いた趙では、対応に苦慮します。そこに名乗り出たのが、剛胆家臣の藺相如。王は彼に璧を持たせて、使いに出しました。藺相如は、いったんは璧を秦王に渡しますが、「この璧には実は小さな傷があるので、それをお見せしておきたい」とうそをついて取り戻します。そして、璧を手に持ったまま、「私を殺せば、その瞬間にこの璧は砕け散ることでしょう」と脅しをかけて璧を守り抜き、無事、趙に帰ることができたのでした。

[解説] ❶「完璧」とは、本来は、藺相如が「璧」に傷一つつけずに無事に帰還したことを表すことば。中国では、「完璧帰趙」の形で、貸したものを取り戻すことや、借りたものをきちんと返すことを指して使われます。❷現在では日常語として使われ当ていることばが、実は故事成語だったといういい例。何より、元の話を一度、知れば、「璧」を「壁」と間違えて書くことは、もうなくなることでしょう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「完璧」の意味・わかりやすい解説

完璧
かんぺき

「璧」は玉のことで、璧を全うする(完全に守る)こと、転じて、少しのきずもない玉、完全無欠なものをいい、さらに、人から借りた物を返すこと、だいじな物を取り返すことをもいう。中国戦国時代、趙(ちょう)の恵王が所有する名玉「和氏(かし)の璧(たま)」を秦(しん)の昭王が欲しがり、15の城との交換を強要した。この交換条件が履行されず、玉が取り上げられたままになるのは明らかであったが、このとき秦に使した藺相如(りんしょうじょ)の命をかけた働きで、璧を完(まっと)うすることができた、という『史記』「藺相如伝」の故事による。

[田所義行]

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普及版 字通 「完璧」の読み・字形・画数・意味

【完璧】かんぺき

完全な玉。

字通「完」の項目を見る

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