性具(読み)セイグ

精選版 日本国語大辞典 「性具」の意味・読み・例文・類語

しょう‐ぐシャウ‥【性具】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 仏語天台宗教義で、いかなる有情も、本覚の性に十界三千の善悪のあり方を具えていること。体具。理具
    1. [初出の実例]「天台の心ならば性具(シャウグ)の三千十界の依正」(出典:米沢本沙石集(1283)一)
  3. せいぐ(性具)

せい‐ぐ【性具】

  1. 〘 名詞 〙 性行為に用いる器具。性交の際に補助的に使用するもの、独悦として使用するもの、また、避妊目的のものなど各種ある。花柳界では縁起ものとして神棚に供える風習が明治期まであった。秘具。
    1. [初出の実例]「ぎいっといやな音のする搗機か機織機みたいな拷問機や性具まであった」(出典:がらくた博物館(1975)〈大庭みな子〉よろず修善屋の妻)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「性具」の意味・わかりやすい解説

性具
しょうぐ

仏教用語。天台大師智顗(ちぎ)の中心の教えの一つ。われわれはこの世界を実在するものと単純に解したり、逆に実有(じつう)ならざるものと解することもある。その解し方は無数であるが、実はその無数の了解仕方に応じて、われわれの善悪さまざまのあり方が現出してくる。自らの認識の仕方に従って、いろいろのあり方をとりえて、しかも現に具体的にあるものとして生きているという衆生(しゅじょう)のあり方の構造を、衆生の心のなかにもともと「具(そな)」わっているもの(=心具)と見て取って立言されたのが、性具説である。

[新田雅章]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「性具」の意味・わかりやすい解説

性具
しょうぐ

仏教用語。華厳教学で用いられる。性起に対する語。あらゆる現象は真実の本性に従って現れながらも,個々の性質をそのままそなえ,しかも互いに混乱しないという考え。

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