息子(読み)ムスコ

デジタル大辞泉 「息子」の意味・読み・例文・類語

むす‐こ【息子/息】

《「す子」の意》
親にとって自分の子である男性。せがれ。「跡取り―」「どら―」⇔
陰茎の俗称。
[補説]作品名別項。→息子
[下接語]掛かり息子息子総領息子道楽息子どら息子のら息子一人息子まま息子もらい息子
[類語]せがれ子息ジュニアこせがれ子供子女しじょ児女子弟愛児息男そくなん息女子種子宝二世お子さま令息令嬢お坊っちゃんお嬢さんお嬢さま

むすこ【息子】[戯曲]

小山内薫戯曲。大正11年(1922)、「三田文学」に発表翌年帝国劇場にて初演アイルランド劇作家ハロルド=チャピンの戯曲「父を探すオーガスタス(Augustus in Search of a Father)」の翻案。

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精選版 日本国語大辞典 「息子」の意味・読み・例文・類語

むす‐こ【息子・息】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 「生(む)す子」の意 )
    1. 親にとって自分の子である男。せがれ。子息。むすこ子。
      1. [初出の実例]「殿上童藤原の繁時阿波守弘蔭がむすこ」(出典:寛平内裏菊合(891頃か))
    2. 陰茎の異称。せがれ。
      1. [初出の実例]「ふんどしをしめ、むす子めにいけんしていまする」(出典:評判記・野良立役舞台大鏡(1687)中村数馬)
  2. [ 2 ] ( 息子 ) 戯曲。一幕。小山内薫作。大正一一年(一九二二)帝国劇場初演。ハロルド=チャピン「父を捜すオーガスタス」の翻案。雪の夜の番小屋を背景にやくざに身を持ちくずした息子と火の番の父親の再会をしみじみと描く。

息子の補助注記

語源からは、男子・女子のいずれをも指し得ることになるが、女子は同じ「むす(生)」に女性を意味する「め」が付いた「むすめ」で表わされる。

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改訂新版 世界大百科事典 「息子」の意味・わかりやすい解説

息子 (むすこ)

戯曲。1幕。小山内薫作。1922年7月《三田文学》に発表。翌23年3月東京帝国劇場初演。金次郎を6世尾上菊五郎,捕吏を13世守田勘弥,火の番の老爺を4世尾上松助。アイルランドの作家ハロルド・チャピンの《父を探すオーガスタス》を翻案,江戸の世界に移した。雪の夜,江戸の境の火の番小屋。9年の放浪生活から江戸へ戻ったお尋ね者の金次郎は,身を寄せるところもなく小屋の戸をたたく。火の番の老爺も同じ年ごろの息子を持つ身とて,身の上を話しあううちに金次郎は自分の親父と気づく。が,息子の出世を信じきっている相手に,金次郎は打ち明けることができない。町回りの捕吏に怪しまれて格闘の末,彼は一言〈ちゃん〉と呼んで別れ去る。平易明快な主題,緊密な構成,簡潔なせりふは,配役の妙とあいまって,みごとな世話物の一幕を現出した。黒一色の舞台中央に小屋を置いた田中良の舞台装置も評判となった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「息子」の意味・わかりやすい解説

息子
むすこ

小山内薫(おさないかおる)の戯曲。一幕。1922年(大正11)7月『三田(みた)文学』に発表。翌年3月、6世尾上(おのえ)菊五郎の息子、4世尾上松助の老爺(ろうや)、13世守田勘弥(かんや)の捕吏により帝国劇場で初演。徳川末期の江戸の入り口、雪の降りしきる師走(しわす)の夜半過ぎの火の番小屋。土間焚火(たきび)をする老爺のところに若い男が現れて話しかける。彼は9年前に家を出て上方(かみがた)に行き、いまや御尋ね者となった息子の金次郎である。老爺は暗がりでそれとは気づかず、なにくれとめんどうをみて、話を続ける。しかし、ようすをうかがっていた捕吏に悟られ、遠く呼笛(よびこ)の行き交うなか、「ちゃん」の一声を残して消え去る。イギリスのハロルド・チャピンの『父を捜すオーガスタス』の翻案だが、完全に日本化された一幕劇の傑作で、アマチュア演劇でもたびたび上演されている。

[大島 勉]

『『息子』(『未来劇場上演用台本シリーズ〔1〕』1978・未来社)』

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デジタル大辞泉プラス 「息子」の解説

息子

1991年公開の日本映画。監督・脚本:山田洋次、原作:椎名誠、脚本:朝間義隆、撮影:高羽哲夫。出演:三國連太郎、永瀬正敏、和久井映見、原田美枝子、田中隆三、浅田美代子、山口良一、浅利香津代ほか。第65回キネマ旬報ベスト・テンの日本映画ベスト・ワン作品。第15回日本アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀主演男優賞(三國連太郎)、最優秀助演男優賞(永瀬正敏)、最優秀助演女優賞(和久井映見)受賞。第46回毎日映画コンクール日本映画大賞、日本映画ファン賞、監督賞、撮影賞ほか受賞。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「息子」の意味・わかりやすい解説

息子
むすこ

小山内薫の戯曲。 1922年発表。 23年初演。 H.チャピンの『父をたずねるオーガスタス』を翻案した一幕物で,作者の作品中最も上演回数の多い戯曲の一つ。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「息子」の解説

息子
むすこ

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
作者
小山内薫
初演
大正12.3(東京・帝国劇場)

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世界大百科事典(旧版)内の息子の言及

【アントコーリスキー】より

…22年に処女詩集を刊行。第2次大戦中に,叙事詩《息子》(1943)を発表,戦死した自分の息子にささげられたこの詩は,戦時中のソ連市民の気持ちをきびしくまたやさしく表現し,多くの読者の共感をえた。このほか代表的な仕事としては叙事詩《フランソア・ビヨン》(1934),《アルバート街の裏通り》(1954)などがある。…

【ハーゼンクレーバー】より

…ユダヤ系の衛生顧問官の子としてアーヘンで生まれ,オックスフォード,ローザンヌ,ライプチヒの大学で文学や哲学を学び,第1次大戦に従軍したのち,平和主義者に転じた。暴君的な父親に対する息子の反抗を扱う悲劇《息子》(1914)は,もっとも早い表現主義劇として当時の若い世代に圧倒的な支持を得,反戦劇《アンティゴネ》(1917)をはじめ,《人間》(1918),《決定》(1919),《彼岸》(1920)などをつぎつぎと発表。20年代に入り,仏教,心霊学に関心を示すかたわら,パリ,ハリウッドなどで新聞通信員として活躍。…

※「息子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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