惚・恍・耄(読み)ほれる

精選版 日本国語大辞典 「惚・恍・耄」の意味・読み・例文・類語

ほ・れる【惚・恍・耄】

〘自ラ下一〙 ほ・る 〘自ラ下二〙
① 茫然となる。ぼんやりする。放心する。
※霊異記(810‐824)上「雷慌(ホレテ)七日七夜留まりて在り」
② 年老いて知覚や感覚がにぶくなる。もうろくする。ぼける。→ぼれる
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)九「已に衰へ邁(す)ぎ老い耄(ホレ)
③ 人、特に、異性に心をうばわれて夢中になる。一心におもいをかける。恋い慕う。
御伽草子・福富長者物語(室町末)「あなけふたや、けふりはうばにやほれつらん」
④ 人物や物などに感心して心ひかれる。心酔する。
⑤ (他の動詞の連用形に接続して) そのことに夢中になる。うっとりする。「見ほれる」「聞きほれる」
[語誌]中古から中世にかけては老齢や種々の肉体的精神的衝動のために放心状態となる意であった。③のような「相手に夢中になる」「うっとりする」意に限定されるのは室町後期以降と思われる。また、その限定化は、古くからあった「痴呆」「耄碌」の意が濁音形の「ぼれる」「ぼける」に受け継がれたため、語形と意味の分担が生じた結果として考えることができる。

ほ・る【惚・恍・耄】

〘自ラ下二〙 ⇒ほれる(惚)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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