意外と身近な故事成語

故事成語を知る辞典 「意外と身近な故事成語」の解説

意外と身近な故事成語

■「矛盾や「蛇足、そして「推敲といった熟語故事成語であるということは、比較的よく知られているでしょう。このように、現在、日常的に使われていることばの中にも、元をたどれば故事成語だというものは、意外とあります。

■たとえば、「完璧は、「史記」に出て来る、ある国の横暴な王に宝石を取り上げられそうになりながら、みごとに守り抜いた豪傑の話から。「璧」は、ある種の宝石を表す漢字です。「背水の陣とは、同じく「史記」に出て来る、ある将軍の作戦に由来する故事成語です。

■「杞憂は、杞という国に住んでいたある人物が、天地が崩壊しないかと心配していた、という話から。「列子」という書物に記載があります。また、「助長の元になったのは、穀物の苗の成長を待ちきれなかったある父親が、その芯を無理に引っ張って枯らしてしまった、という話。「孟子」によって伝えられています。

■このほか、「論語」に由来する故事成語の中には、今ではほとんど日常語になってしまっているものが、いくつか見られます。「敬遠は、「鬼神は敬してこれを遠ざく」という孔子のことばから。「啓発も、「憤せざれば啓せず、せざれば発せず」という孔子のことばから生まれた表現。「堂に入るは、孔子がある弟子技量を「堂に升れり、未だ室に入らず」と評価したところから。「入門なんていうなんでもないことばも、弟子が孔子について述べた、「の門を得て入る」のでなければ偉大さがわからない、ということばに由来しています。

■「入門」のように、実は故事成語だったと知って、びっくりするようなことばとしては、ほかにも「折角があります。これは、「後漢書」に出て来る、二世紀に、ある人物がかぶっていた頭巾片方の角が、雨に打たれて折れてしまった、という話から生まれた表現。彼を慕う人々が、それをまねしてわざと頭巾の片方の角を折ったところから、わざわざ何かをすることを表すようになりました。

■以上のようなことばを眺めてみると、故事成語というものが、いかに深く私達の生活に入り込んでいるかが、よくわかることでしょう。

出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報

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