戸川昌子(読み)トガワマサコ

デジタル大辞泉 「戸川昌子」の意味・読み・例文・類語

とがわ‐まさこ〔とがは‐〕【戸川昌子】

[1933~2016]推理作家。東京の生まれ。本姓内田。会社勤務ののち、シャンソン歌手を経て「大いなる幻影」で江戸川乱歩賞受賞、作家生活に入る。「猟人日記」は官能的描写話題となる。他に「蜃気楼しんきろうの帯」「あおい蛇」「火の接吻せっぷん」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「戸川昌子」の意味・わかりやすい解説

戸川昌子
とがわまさこ
(1933―2016)

推理作家。東京生まれ。千歳(ちとせ)高校卒業後、タイピスト、シャンソン歌手を経て、1962年(昭和37)『大いなる幻影』で江戸川乱歩賞を受賞、作家生活に入る。翌年大胆な性描写が話題となった『猟人日記』を発表。『猟人日記』は、直木賞候補にもなり、1964年中平康(こう)監督で映画化された。いずれもトリックの巧妙なサスペンス小説で、よく練られたプロットの妙が効果をあげている。『蜃気楼(しんきろう)の帯』(1967)はアフリカを舞台にした意欲的な国際事件小説である。その後の作品はしだいにミステリー色が薄れ通俗的風俗小説に近づき、『赤い暈(かさ)』『蒼(あお)い蛇』『夢魔(むま)』(いずれも1969)、『透明女』(1971)などを著す。作家活動以外でも、テレビのワイドショーのコメンテーターを務めたり、1967年に東京・渋谷にシャンソンの店「青い部屋」を開いたり(2000年に「新旧文化の融合」の場とすべくリニューアル)、歌手としても「リリー・マルレーン」(1975)を発表するなど、多彩である。46歳での高齢出産、還暦離婚などでも、話題になった。1984年、久しぶりの長編ミステリー『火の接吻(せっぷん)』が刊行された。

厚木 淳]

『『戸川昌子傑作シリーズ』1~4(1965~1966・講談社)』『『落第ママでも子は育つ』(1986・国際文行社)』『『還暦離婚――いくつになっても再出発』(1995・文春ネスコ)』『『大いなる幻影/猟人日記』『白昼の密猟』『蜃気楼の帯』(講談社文庫)』『『女人白道』『銀座「どん底」付近』『赤い暈』『蒼い蛇』『続・蒼い蛇』『夢魔』『狩りの時刻』『夜の爪痕』『透明女』『美しき獲物たち』(徳間文庫)』『『火の接吻』(扶桑社文庫)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「戸川昌子」の解説

戸川昌子 とがわ-まさこ

1933- 昭和後期-平成時代の推理作家。
昭和8年3月23日生まれ。タイピストとして会社勤務ののち,シャンソン歌手になる。昭和37年サスペンス「大いなる幻影」で江戸川乱歩賞をうけ,作家生活にはいる。「猟人日記」「蜃気楼(しんきろう)の帯」と話題作を発表するほか,タレント,クラブ経営など多方面に活躍。東京出身。千歳高卒。本名は内田昌子。作品はほかに「蒼い蛇」など。

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