打上げ(読み)ウチアゲ

デジタル大辞泉 「打上げ」の意味・読み・例文・類語

うち‐あげ【打(ち)上げ/打(ち)揚げ】

空高く上げること。「気象衛星の―」

芝居相撲などの興行を終えること。
㋑事業や仕事などを終えること。また、その終了を祝う宴。
打ち上げ花火」の略。
能楽囃子はやし歌舞伎鳴り物手法の一つで、演奏一段落つけるために調子を一段高めて奏するもの。
すだれを巻き上げて出入りするようにつくった駕籠かご。打ち上げ簾。打ち上げ乗り物。

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精選版 日本国語大辞典 「打上げ」の意味・読み・例文・類語

うち‐あげ【打上・打揚】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 波などが打ち上げること。
    1. [初出の実例]「みさごゐる浜の真砂の打上に波ぎは見えて寄る藻くづかな〈藤原光俊〉」(出典:新撰六帖題和歌(1244頃)三)
  3. 打って上方へ上げること。花火、ロケットなどを打ち上げること。
    1. [初出の実例]「今の川開と云へば、単に花火の打揚(ウチアゲ)を意味し」(出典:東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉八月暦)
  4. 演劇用語。
    1. (イ) 能楽の囃子(はやし)で、連続して演奏した末に、大・小鼓、またはそれに太鼓を加えて、一段落を付ける手法の一種で少し調子を上げて演奏される。この手でいったん囃子を止めるのと、さらにはやし継いでゆくものとの二種がある。
      1. [初出の実例]「打上、つづみの少うちよりわきうたふもの也」(出典:わらんべ草(1660)二)
    2. (ロ) (イ)から転用された歌舞伎の鳴り物の一つ。特に、長唄囃子の拍子事(ひょうしごと)の段落に用いられる手法で、太鼓入りの囃子を一段と高め、ひとくぎりつけるもの。また、幕切れせり上げなどで効果音のつけを早打ちすることをもいう。
      1. [初出の実例]「此の模様打ち上げの鳴物にて、幕」(出典:歌舞伎・夢物語盧生容画(1886)三幕)
  5. 弓術で、歩射で草鹿(くさじし)、円物(まるもの)などを射ようとするとき、弓を引くため、矢を弦にくわせて持ちあげること。
  6. 花札の遊びで、下座にいて持っていれば役になる札をやむなく上座の方に打ち出すこと。
  7. 囲碁で、相手の石のダメをすべて詰め、盤上から取り除くこと。
  8. うちあげはなび(打上花火)」の略。
    1. [初出の実例]「細工火 はな火のこと也。此外うち上げなどいふ」(出典:俳諧・季寄新題集(1848)秋)
  9. うちあげすだれ(打上簾)」の略。
    1. [初出の実例]「乗物目名〈略〉打揚と云は、左右の引戸なく簾を揚て上下せらるるを云」(出典:続視聴草(1830)初集一〇(古事類苑・器用三〇))
  10. ( 「あげ」が「終了」「完成」などの意をもって )
    1. (イ) 刀剣などを造りあげること。
      1. [初出の実例]「拝見するさへ鍛冶の冥加(みゃうが)、打ち上げの儀は思ひもよらず」(出典:歌舞伎・四天王楓江戸粧(1804)三立)
    2. (ロ) 相撲、芝居などの興行を終えること。〔相撲講話(1919)〕
    3. (ハ) 事業、仕事などを終えること。また、その終了を祝う宴。
      1. [初出の実例]「滞日中の外国の大観光団が日本での旅程の打ち上げを」(出典:青い殺人者(1966)〈石原慎太郎〉六六)

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