改訂新版 世界大百科事典 「招商局」の意味・わかりやすい解説
招商局 (しょうしょうきょく)
Zhāo shāng jú
中国最初の汽船航運会社である輪船招商局の簡称。1874年(同治13)北洋大臣兼直隷総督李鴻章は,イギリス,アメリカの航運会社に対抗するため,民間から資本を募集(招商)し半官半民(官商合辧)の輪船公司招商局を設立した。資本金は当初100万両(テール)で,総局は上海に,分局は天津,牛荘,烟台,漢口,福州,広州,香港,横浜,神戸,ルソン,シンガポール等に置かれ,漕糧の運搬や貿易に従事した。77年(光緒3)にアメリカ資本の旗昌洋行Russel & Co.の船舶を購入して拡張し,80年には官金を返済して民営となった。しかし,清仏戦争で打撃を受け,85年には盛宣懐によって官督商辧に改組され,1909年(宣統1)には郵伝部の管轄となった。26年孫伝芳軍の徴発に遭い,企業が利権の対象として争奪されたが,国民政府が成立すると立て直しが図られ,30年には国営化されて交通部に帰属した。子会社としては,仁和・済和保険公司が1875年から中国で最初の海上火災保険を営み,また,78年には船舶用石炭を確保するため,招商局総辧唐景星は李鴻章と提携して開平鉱務局を設立し,唐山炭鉱の採掘を行うなど多角的に経営が進められた。
執筆者:浜下 武志
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