授記(読み)ジュキ

デジタル大辞泉 「授記」の意味・読み・例文・類語

じゅ‐き【授記】

《〈梵〉vyākaraṇaの訳。区別分析発展の意》仏語。仏が、弟子に対して未来世証果、特に成仏証言を与えること。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「授記」の意味・わかりやすい解説

授記
じゅき

仏教用語。もとは、ある教説を分析し、あるいは問答体を用いて解説すること。のちには、仏陀(ぶっだ)が個々の比丘(びく)の死後運命について語った予言の意味。その後、一般には主として将来の成仏(じょうぶつ)の証言の意味となり、過去世における釈尊の燃燈(ねんとう)仏からの授記、弥勒菩薩(みろくぼさつ)の釈尊からの授記、法蔵(ほうぞう)比丘(後の阿弥陀仏(あみだぶつ))の世自在王仏からの授記などが著名である。

坂部 明]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「授記」の意味・わかりやすい解説

授記
じゅき
vyākaraṇa

仏教の経典をその内容形式に基づいて分類した十二部経なか一つ。元来は,質問事項に対する釈尊の解説を意味したが,だれそれが完全な悟りを得るであろうというような,釈尊による予言をさす言葉となった。

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世界大百科事典(旧版)内の授記の言及

【預言(予言)】より

…一方ある人物が菩薩として転生をかさねながら修学をつむうち,遂には仏となるであろうと諸仏が予言するかたちは,大乗仏教になってから発達した思想である。この予言は漢訳経典では〈授記〉または〈受記〉〈記別〉〈記〉などと訳される。初期のビヤーカラナには釈迦が行う〈授記〉と,釈迦にその資格を認められた者が,定められた規準(〈法鏡〉という)にてらしてみずから行う〈自記〉とがあった。…

※「授記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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