撤回(読み)テッカイ

デジタル大辞泉 「撤回」の意味・読み・例文・類語

てっ‐かい〔‐クワイ〕【撤回】

[名](スル)
いったん提出公示したものなどを、取り下げること。「前言撤回する」
民法上、意思表示をした者が、その効果将来に向かって消滅させること。
[類語]解消撤廃廃止廃棄破棄放棄全廃廃するすたれるすたる取り消すキャンセル解約破談破約反故白紙撤回願い下げ取り下げる引っ込める白紙に返す

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「撤回」の意味・読み・例文・類語

てっ‐かい‥クヮイ【撤回】

  1. 〘 名詞 〙 一度出したものを取り下げること。言い出した事柄を後になって引っ込めること。
    1. [初出の実例]「時宜に仍り其兵員を減じ或は撤回する事、我国の酌定便宜に任すなり」(出典:伊藤特派全権大使復命書附属書類(1885)北京晤談)
    2. 「三四郎は此問を急に撤回(テックヮイ)したくなった」(出典三四郎(1908)〈夏目漱石〉六)
    3. [その他の文献]〔清史稿‐交通志・四・郵政〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「撤回」の意味・わかりやすい解説

撤回
てっかい

民法上は、意思表示をなした者が、その意思表示の効果を将来に向かって消滅させることをいう。一般に意思表示は、相手方に到達することによって効力を生ずるので、到達するまでは撤回できる。撤回は、一方的意思表示によってなされる点で、取消しと類似しているが、両者は次の点で異なっている。すなわち、取消しは、すでに発生した行為の効力を、一定の取消原因(制限行為能力、詐欺強迫)のあるときに限り、過去にさかのぼって法律効果を消滅させるのに対し、撤回は、自己がなした行為の効力が発生しないことを欲して、意思表示の効果を将来に向かって消滅させるにすぎない。民法典には、撤回という用語は用いられていないが、取消しという用語が使用されている場合であっても、撤回の意味に解すべき場合が少なくない。たとえば、営業許可の取消し(民法6条2項)、無権代理行為の取消し(同法115条)などの場合である。

[竹内俊雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

普及版 字通 「撤回」の読み・字形・画数・意味

【撤回】てつかい

取りやめる。

字通「撤」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android