擬する(読み)ギスル

デジタル大辞泉 「擬する」の意味・読み・例文・類語

ぎ・する【擬する】

[動サ変][文]ぎ・す[サ変]
見立てる。なぞらえる。「山水に―・した庭園
決定していないことなどを、仮に当てはめてみる。「次期総裁に―・せられる」
刀などを突きつける。あてがう。「背に銃を―・する」
[類語]たとえるなぞらえる見なす見たてる模倣まね模擬人まね猿まね右へ倣え複写模写複製写し模造紛い物偽物真似事模する倣う見倣うイミテーションカーボンコピー

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「擬する」の意味・読み・例文・類語

ぎ‐・する【擬】

  1. 〘 他動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]ぎ・す 〘 他動詞 サ行変 〙
  2. それでないものをそれに見立てる。なぞらえる。たとえる。
    1. [初出の実例]「聊擬談咲耳」(出典:万葉集(8C後)一七・三九六七・題詞)
    2. 「光大臣伊周公を光源氏に擬すなどいふ一義もあるか」(出典:河海抄(1362頃)一)
  3. まだ決まっていないことをあらかじめ当てはめる。仮に当ててみる。仮定する。
    1. [初出の実例]「此は此、勘当して過に擬せる五人と書けり」(出典:今昔物語集(1120頃か)九)
    2. 「各(おのおの)存じの旨有らば、子細を奏聞して聖断を仰ぐべき処に、私に諍論(しゃうろん)をいたさむと擬(ギ)し、武士巷に充満する由、天聴を驚かし、叡聞に及ぶ」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)下)
  4. まねる。似せる。
    1. [初出の実例]「釈尊の十大弟子に擬して、扈従(こしゃう)(よそほひ)厳重なり」(出典:太平記(14C後)二四)
    2. 「故に今鉄橋石室を以て西洋に擬するは易しと雖ども」(出典:文明論之概略(1875)〈福沢諭吉〉一)
  5. 当てがう。さし当てる。つきつける。押し当てる。
    1. [初出の実例]「殿下御盃按察使給之、被右府殿、右府殿賜権中納言」(出典:兵範記‐保元三年(1158)二月二九日)
    2. 「二万の戦隊長鎗を擬し大剣を揮ひ鬨を作て殺到せり」(出典:経国美談(1883‐84)〈矢野龍渓〉後)

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