旧る(読み)フル

デジタル大辞泉 「旧る」の意味・読み・例文・類語

ふ・る【旧る】

[動ラ上二]
古くなる。年をへて古びる。昔と今とすっかり変わる。
「あをによし奈良の都は―・りぬれどもとほととぎす鳴かずあらなくに」〈・三九一九〉
年をとる。
「―・りにしおみなにしてやかくばかり恋に沈まむ手童たわらはのごと」〈・一二九〉
古くからの縁がある。
うつつにもいめにも我は思はずき―・りたる君にここに逢はむとは」〈・二六〇一〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「旧る」の意味・読み・例文・類語

ふ・る【旧】

  1. 〘 自動詞 ラ行上二段活用 〙
  2. 年月が経過してふるびる。古くなる。
    1. [初出の実例]「青によし奈良の都は布里(フリ)ぬれどもとほととぎす鳴かずあらなくに」(出典:万葉集(8C後)一七・三九一九)
  3. 年をとる。
    1. [初出の実例]「古(ふり)にし嫗にしてやかくばかり恋に沈まむ手童の如」(出典:万葉集(8C後)二・一二九)
  4. 古くからのなじみである。昔からの縁がある。
    1. [初出の実例]「現にも夢にも我は思はずき振有(ふりたる)君にここに逢はむとは」(出典:万葉集(8C後)一一・二六〇一)
  5. 時がたつにつれて、薄れて行く。また、古いものとして忘れ去られる。もてはやされなくなる。
    1. [初出の実例]「本滋き 本滋き 吉備の中山 昔より 昔から 昔から 昔より 名の不利(フリ)こぬは 今の代のため 今日の日のため」(出典:催馬楽(7C後‐8C)本滋き)

ふる【古・旧・故】

  1. [ 1 ] 〘 造語要素 〙 ( 形容詞「ふるい」の語幹相当部分 ) 名詞の上に付いて、古い意を加える。古くは、時間が経過した、長い年月がたったの意で用いることが多いが、現代では、使いふるした、の意をこめることが多い。「ふること」「ふる人」また「ふる足袋」「ふる新聞」など。
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 使いふるしたもの。他人長年使ってから譲られたもの。多く、衣類道具などについて、「おふる」の形でいうことが多い。→おふる
    1. [初出の実例]「其角曰くまがれるを曲てまがらぬ柳に受るも漸(やや)(フル)なれど何うも言れぬ取廻しに俊雄は成仏延引し」(出典:かくれんぼ(1891)〈斎藤緑雨〉)

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