早船(読み)はやふね

精選版 日本国語大辞典 「早船」の意味・読み・例文・類語

はや‐ふね【早船・舸】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「はやぶね」とも )
  2. 漕ぎ手を多数乗り組ませた速力の早い船。
    1. [初出の実例]「心もまどひて、はや舟といひて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)玉鬘)
  3. 平安・鎌倉時代の軽快な戦闘用の船。船尾が高く反り上がっているので高尾船ともいう。〔二十巻本和名抄(934頃)〕
  4. 中世末期から近世へかけての水軍で主用された関船の別称。水切りのよい細長い船型に多数の櫓を立て、快速を特徴とする軍船で、近世では四〇梃立以下を小早と呼び、それ以上を関船または早船と呼び、矢倉廻りの艤装相違がある。
    1. [初出の実例]「早舟にめされ、坂本に至って御渡海」(出典:信長公記(1598)八)
  5. 運賃を取り貨客を載せて主要港間を連絡した近世の渡海船の一種。特に、早まわりを専一にした船をいい、瀬戸内海辺の諸港に多く、小船を主とするので小早ともいう。
    1. [初出の実例]「此よしを御ゑとへ申上んとて、はやふねはやひきゃくにて、方々より申上るにぞ」(出典:仮名草子・武蔵あふみ(写本)(1661)下)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「早船」の意味・わかりやすい解説

早船
はやふね

江戸時代,瀬戸内海に就航していた船足の速い船をいう。下関大坂 (あるいは兵庫) 間の海路外国使節参府,西国大名の参勤交代,その他一般乗客でにぎわい,次第に船足の速い船が要求されるようになって登場した。幕末記録では下関-大坂間を3日半で航行した。

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世界大百科事典(旧版)内の早船の言及

【関船】より

…第3期は江戸時代であり,泰平の世となるや幕命により即刻没収焼却された主力艦安宅船(あたけぷね)とは異なり,依然保有を許された巡洋艦関船は,惣漆(そううるし),金泥(きんでい),金金具(きんかなぐ)などで美々しく装われ,将軍,大名の海上巡幸や参勤交代時の専用御召船,すなわち〈御座船(ござぶね)〉へと,華麗なる変身を遂げる。なお,関船は早船(はやふね)(小型のものは小早(こばや))とも呼ばれる。【小佐田 哲男】。…

※「早船」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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