明らか(読み)アキラカ

デジタル大辞泉 「明らか」の意味・読み・例文・類語

あき‐らか【明らか】

[形動][文][ナリ]
光が満ちて、明るく物を照らしているさま。曇りなく明るいさま。
「水の中に―な光線がさし透って」〈花袋田舎教師
「夜深き月の―にさし出でて」〈椎本
はっきりとしていて疑う余地のないさま。明白なさま。「火を見るよりも明らかだ」「失敗明らかに彼の責任だ」「論点明らかにする」
道理に通じているさま。賢明である。
「まして―ならん人の、まどへる我等を見んこと」〈徒然・一九四〉
心が晴れやかなさま。ほがらかである。
「むつかしくものおぼし乱れず、―にもてなし給ひて」〈・若菜下〉
[類語]はっきりありありまざまざさやか定か明るい確か確実正確的確明確精確安全明白確固確然必至必然必定最右翼本命有力鉄板見るから明瞭明快平明簡明明晰明明白白端的くっきりしかきわやか鮮やかめっきり浮き彫りクリア鮮明分明顕著顕然歴然歴歴瞭然亮然りょうぜん判然画然截然せつぜん明解自明彷彿鮮烈一目瞭然手に取るようたなごころを指すまがう方ない隠れもない火を見るよりも明らか目に見える言わずと知れた紛れもない無論勿論もちろん当然当たり前もっとも自然至当元よりご無理ごもっと灼然しゃくぜんまさしくまさに疑いなく然るべきすべからく言うまでもない言うに及ばず言えば更なり言わずもがな言うもおろか言をたない論をたない論無し推して知るべし無理もない無理からぬもありなん理の当然必然妥当自明の理それもそのはずもっともっとも至極もっとも千万うべなるかなむべなるかな合点唯唯諾諾首肯うべなう賛成賛同果たして果たせるかな更にも言わず至極のみならず言わずと知れた違いないくっきり諸手もろてを挙げる

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精選版 日本国語大辞典 「明らか」の意味・読み・例文・類語

あきら‐か【明か】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 「あく」「あける」などと同語源。さえぎるものがなく、開け、通じているさまにいう )
  2. 光が満ちて、すみずみまで照らしているさま。明るいさま。
    1. (イ) 外界事象心情に、曇りや暗いところがなく、はっきりと明るいさま。
      1. [初出の実例]「其(そ)れ清(す)み陽(アキラカナル)ものは薄靡(たなび)きて天(あめ)と為(な)れり」(出典日本書紀(720)神代上(水戸本訓))
      2. 「むつかしく物おぼし乱れず、あきらかにもてなし給ひて、このいたく面やせ給へる、つくろひ給へ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
    2. (ロ) 景観が明るく、広く開けているさま。
      1. [初出の実例]「月ごろの御すまひよりは、こよなくあきらかに、なつかしき」(出典:源氏物語(1001‐14頃)明石)
  3. 物事や道理がはっきりとしているさま。
    1. (イ) 物事が他と紛れなく明白であるさま。また、疑いなく確かなさま。
      1. [初出の実例]「天皇分明(アキラカニ)其の状を知(しろしめ)せ欲(むとし)て」(出典:日本書紀(720)允恭五年七月(図書寮本訓))
      2. 「仏神も聞き入れ給ふべき言の葉はあきらかなり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
    2. (ロ) 物事の道理に明るいさま。聰明。賢明。
      1. [初出の実例]「闊達、多智にして明敏(アキラカナリ)」(出典:大唐西域記長寛元年点(1163)五)
      2. 「あきらかならん人の、まどへる我等を見んこと、掌(たなごころ)の上の物を見んが如し」(出典:徒然草(1331頃)一九四)
  4. 目がよく見えるさま。
    1. [初出の実例]「願くは此の衆(もろもろ)の涙を以て彼の盲したる眼を洗はむに、明(あきらか)なる事を得て、見る事、本の如(ごとくな)らむと」(出典:今昔物語集(1120頃か)四)
  5. 心が純粋なさま。邪心のないさま。正直なさま。
    1. [初出の実例]「赤心と云は明なる心ぞ。少も無他心ぞ」(出典:古文真宝笑雲抄(1525)一〇)

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