映る(読み)ウツル

デジタル大辞泉 「映る」の意味・読み・例文・類語

うつ・る【映る】

[動ラ五(四)]《「移る」と同語源》
姿・形・影などが、反射投影によって、他の物の上に現れる。「鏡に―・った顔」「障子に―・る人影
映像スクリーンブラウン管などの上に現れる。「電波障害でテレビがよく―・らない」
色や物の配合がよく、つりあいがとれている。また、付属的なものが本体と調和する。「あの人には赤がよく―・る」「その背広にはストライプネクタイがよく―・る」
人の目にある印象を与える。映ずる。「初めての人には奇異に―・る風習
[類語]映ずる反映映す

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「映る」の意味・読み・例文・類語

うつ・る【映・写】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙 ( 「移る」の意から転じたもの )
  2. 物の影や光などが他の物の上に現われる。映ずる。
    1. (イ) 鏡、水、障子などに、姿や影が現われる。また、光が当たって照り輝く。
      1. [初出の実例]「ある人このやなぎのかげの、川の底にうつれるを見てよめるうた」(出典:土左日記(935頃)承平五年二月一一日)
      2. 「壁に写った影法師が」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一)
    2. (ロ) 映画、スライドなどで、映像がスクリーンに現われる。
      1. [初出の実例]「幻燈にしないか、幻燈に、〈略〉ああ夫(そ)れは面白からう、〈略〉序(ついで)にあの顔がうつると猶(なほ)おもしろい」(出典たけくらべ(1895‐96)〈樋口一葉〉三)
    3. (ハ) ( (イ)の比喩的用法 ) 人の目にはっきりと見える。また、人の心にある印象を与える。反映する。
      1. [初出の実例]「恍惚(うっとり)とした顔に映る内の想(おもひ)が無いから、何を思ってゐることかすこしも解らないが」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉三)
      2. 「おぬいさんには園(その)がどう映(ウツ)ったらうか」(出典:星座(1922)〈有島武郎〉)
  3. 物事のつり合い、色の配合などが、ぴったりする。よく似合う。しっくりする。
    1. [初出の実例]「見るからしほらしく、それぞれの芸にうつりたる口上」(出典:仮名草子・都風俗鑑(1681)三)
    2. 「全体ゆうれいといふものは、ほっそり、すうわりと凄(すご)い程、器量がようなけにゃ、うつらぬ物じゃ」(出典:咄本・軽口大黒柱(1773)五)
  4. ( 写 ) 写真で映像がうまく現われる。撮(と)れる。
    1. [初出の実例]「彼(あ)の写真は仕舞(しまっ)て御座いますが、余りよく写って居らぬ」(出典:雪中梅(1886)〈末広鉄腸〉上)
  5. ( 写 ) 下の文字や絵が、紙などを通してすけて見える。

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