晒し(読み)サラシ

デジタル大辞泉 「晒し」の意味・読み・例文・類語

さらし【×晒し/×曝し】


さらすこと。さらしたもの。「雨―」「恥―」
漂白した麻布または綿布。晒し布。特に、晒し木綿 夏》川風に水打ちながす―かな/太祇
江戸時代の刑罰の一。縛った罪人、または斬首ざんしゅに処せられた罪人の首を路傍にさらし、衆人見せしめにしたもの。
歌舞伎舞踊の中の一場面。布ざらしを舞踊化したもので、「越後獅子」などにある。
歌舞伎下座音楽の一。能管・太鼓・大太鼓または大鼓・小鼓を加えた鳴り物で、荒事あらごとの立ち回りや幕切れなどに用いる。
さらしの合方」の略。
(晒)地歌箏曲曲名宇治川沿岸で里人が布をさらすことを題材としたもの。元禄(1688~1704)ころ、深草検校が原曲「古ざらし」をつくり、のちに山田生田の両流が原曲から「新ざらし(早ざらし)」を編曲した。

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精選版 日本国語大辞典 「晒し」の意味・読み・例文・類語

さらし【晒・曝】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「さらす(晒)」の連用形の名詞化 )
  2. 日にあててほすこと。また、薬品などで処理して布を白くすること。
    1. [初出の実例]「宇治の橋本・扇の芝、槇の島にてさらしする」(出典:仮名草子・恨の介(1609‐17頃)上)
  3. さらして白くした木綿。さらしもめん。また、さらして白くした麻布。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「春日神四座祭祭神料〈略〉曝布(さらし)一端八尺」(出典:延喜式(927)一)
    2. 「殊曝弐疋贈給候」(出典:高野山文書‐(文祿元年)(1592)三月一二日・興山上人応其書状)
  4. 江戸時代、刑罰の一つ。追放・遠島・磔(はりつけ)などの罪人を世人の見せしめのため、高札をたててさらしものとした付加刑。通常、さらし場で三日を限度として行なわれた。
    1. 晒<b>③</b>〈Sketches of Japanese Manners & Customs〉
      〈Sketches of Japanese Manners & Customs〉
    2. [初出の実例]「江戸中引廻し、日本橋に三日さらし」(出典:旧記拾要集‐六・天和二年(1682)八月一一日(古事類苑・法律三八))
  5. 帷子(かたびら)をいう女房詞。〔公家言葉集存(1944)〕
  6. 上方唄・箏唄。山城京都府)の宇治川で麻布を晒す情景を音楽化した作。歌舞伎所作事「越後獅子」「晒女(さらしめ)」などの一部に用いられている。
  7. さらし(晒)の合方
    1. [初出の実例]「幕外、景政太刀をかつぎ、きっと見得、さらしになり」(出典:歌舞伎・暫(日本古典全書所収)(1714))

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