暗暗(読み)クラグラ

デジタル大辞泉 「暗暗」の意味・読み・例文・類語

くら‐ぐら【暗暗】

[名]薄暗い時刻日暮れ方
「急ぎ立ちて行く程に、―にぞ家に行き着きたる」〈今昔・二六・一七〉
[副]暗くて物がよく見えないさま。
白雲に跡―と行くかずもとひもやすると思ひけるかな」〈公任集

あん‐あん【暗暗/闇】

[ト・タル][文][形動タリ]
暗いさま。はっきりしないさま。
一間と離れた先はこく―として」〈荷風地獄の花〉
表立たないさま。ひそかなさま。「―のうちに了解し合う」

くれ‐ぐれ【暗】

[副]上代は「くれくれ」》心が暗く悲しみに沈むさま。また、思案に暮れるさま。
「―と秋の日ごろのふるままに思ひ知られぬあやしかりしも」〈和泉式部日記

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「暗暗」の意味・読み・例文・類語

あん‐あん【暗暗】

〘形動タリ〙
① 暗いさま。奥深くかすかなさま。
※大観本謡曲・景清(1466頃)「暗々たる庵室に」
※静寄軒文集(1813頃)五・赴淀城舟中分韻「花影黯々白、柳影淡々青」 〔楚辞天問
② 人知れずするさま。ひそかなさま。
江戸繁昌記(1832‐36)五「暗々想ひ道ふ」

くれ‐ぐれ【暗暗】

〘副〙 (「くれくれ」とも。多く「と」を伴って用いる) 心が暗く沈んで悲しみにくれるさま、思案にくれるさまを表わす語。
万葉(8C後)五・八八八「常知らぬ道の長手(ながて)を久礼久礼(クレクレ)と如何にか行かむ糧米(かりて)は無しに」
歌舞伎幼稚子敵討(1753)四「心がくれぐれとして、深き所へ沈み入(いる)やうに侍るは」

くら‐ぐら【暗暗】

[1] 〘副〙 (多く「と」を伴って用いる) 暗くてはっきりと見えないさまを表わす語。ぼんやり。
※公任集(1044頃)「白雲に跡くらくらと行くかげもとひもやすると思ひける哉」
[2] 〘名〙 暗くてものがよく見えない時刻。薄暗い時分。日暮れ方。また、未明
※今昔(1120頃か)二六「暗々(くらくら)にぞ家に行着たる」

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普及版 字通 「暗暗」の読み・字形・画数・意味

【暗暗】あんあん

奥深く静かなさま。漢・揚雄〔甘泉の賦〕稍(やうや)くとして(しづ)かに深し。

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