行着く(読み)ユキツク

デジタル大辞泉 「行着く」の意味・読み・例文・類語

ゆき‐つ・く【行(き)着く】

[動カ五(四)]
目的地に着く。到着する。いきつく。「道に迷ったすえ、やっと―・く」
事が最終的な局面を迎える。限界に達する。いきつく。「事態は―・くところまで来た」
すっかり酒に酔う。いきつく。
大臣より先へ酒に―・き」〈浮・禁短気・六〉
すっかり夢中になる。ほれこむ。いきつく。
小田巻といふ太夫、かの男に―・いて」〈浄・嫗山姥
一面にゆきわたって付く。
「白き物の―・かぬ所は、まことにくろき庭に雪のむら消えたる心地し」〈能因本枕・三〉

いき‐つ・く【行(き)着く】

[動カ五(四)]ゆきつく

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「行着く」の意味・読み・例文・類語

ゆき‐つ・く【行着】

  1. 〘 自動詞 カ行五(四) 〙
  2. 進んで行って目的地にたどりつく。到着する。いきつく。
    1. [初出の実例]「やうやう近く、すざかの間に来て、この車にゆきつき、なほうたひければ」(出典:大和物語(947‐957頃)御巫本附載)
  3. 資力気力精力などが最後のところ・段階に至る。いきつく。
    1. [初出の実例]「大名借の中間へ入て、おもはぬ大損をしてゆきつき」(出典:浮世草子・商人軍配団(1712か)二)
  4. すっかり酒に酔う。酔いつぶれる。いきつく。
    1. [初出の実例]「むしゃうに飲で、かたはしから行(ユキ)つくを、すぐに床へかたづけ」(出典浮世草子傾城色三味線(1701)京)
  5. すっかり夢中になる。ほれこむ。いきつく。
    1. [初出の実例]「又同じ廓に小田巻と云太夫、彼の男にゆき付て」(出典:浄瑠璃・嫗山姥(1712頃)二)
  6. 一面に付着する。行きわたってつく。
    1. [初出の実例]「顔のきぬもあらはれ、白き物のゆきつかぬ所は、まことに黒き庭に雪のむら消たる心ちし」(出典:能因本枕(10C終)三)

いき‐つ・く【行着】

  1. 〘 自動詞 カ行五(四) 〙
  2. 目的地にたどりつく。到着する。また、目ざした状態に達する。ゆきつく。
    1. [初出の実例]「五条にぞ少将の家あるにいきつきてみれば」(出典:大和物語(947‐957頃)一〇一)
  3. 続ける精力、資力等が最後のところにくる。いきづまる。
    1. [初出の実例]「治兵衛身代いきついての金につまってなんどと」(出典:浄瑠璃・心中天の網島(1720)中)
  4. すっかり酒に酔う。酔いつぶれる。
    1. [初出の実例]「たとへ酒にいきついてもきづかいな事がない」(出典:浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)三)
  5. 命がつきる。死ぬ。
    1. [初出の実例]「当年中にいきつく老人も見へわたれば」(出典:浮世草子・浮世親仁形気(1720)四)
  6. すっかり惚(ほ)れてしまう。心底好きになる。
    1. [初出の実例]「大磯のとらがこと、十郎めがいきついて、誰がよぶでも来ると聞」(出典:浄瑠璃・加増曾我(1706頃)三)

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