曇り無し(読み)クモリナシ

デジタル大辞泉 「曇り無し」の意味・読み・例文・類語

くもり‐な・し【曇り無し】

[形ク]
視界が明瞭である。空が晴れわたっている。
「日のどかに―・き空の西日になるほど」〈常夏
光・色などが鮮明である。澄んでいる。
「―・き池の鏡によろづ代をすむべき影ぞしるく見えける」〈初音
不正などがない。潔白である。
「心の底も―・き、月の桂の光添ふ」〈謡・玉井
物事をよく知っている。
「御才もいとはしたなうものし給へば、よろづの事―・かんめり」〈増鏡・秋のみ山〉

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精選版 日本国語大辞典 「曇り無し」の意味・読み・例文・類語

くもり‐な・し【曇無】

  1. 〘 形容詞ク活用 〙
  2. (かすみ、霧などがかからないで)視界がはっきりしている。
    1. [初出の実例]「くもりなくたきはやまさへはれゆけば水の色さへあらたまりゆけ」(出典:赤人集(11C初か))
  3. 光、色などが鮮明である。澄んでいる。特に、服装などが整って欠点がない。
    1. [初出の実例]「衣がへの御しつらひ、くもりなくあざやかに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)葵)
  4. あいまいなところがない。明快である。
    1. [初出の実例]「御方の兵共の有様は、昨日の軍に曇(クモ)りなく見透れ候者を」(出典:太平記(14C後)二九)
  5. うしろぐらいことがない。政道が公明である。
    1. [初出の実例]「みがきけむ心もしるく鏡山くもりなきよにあふがたのしさ」(出典:能宣集(984‐991))

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