木香(読み)キガ

デジタル大辞泉 「木香」の意味・読み・例文・類語

き‐が【木香】

木材のかおり。「木香の残る新築の家」
酒に移ったたるの香。
「たまには杉の―の躍り出る奴を呑ませ」〈露伴・新浦島

もっ‐こう〔モクカウ〕【木香/唐香】

キク科多年草。高さ約2メートルに達し、葉は広楕円形暗紫色アザミに似た花をつける。インド北部の原産。根には芳香と苦味があり、乾燥させたものを漢方で健胃整腸薬に用いる。昔は衣服の防虫剤に用いた。

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精選版 日本国語大辞典 「木香」の意味・読み・例文・類語

もっ‐こうモクカウ【木香・唐木香】

  1. 〘 名詞 〙
  2. キク科の多年草。インド北部原産。高さ二メートルに達する。葉は広楕円形で膜質。枝頂にトウヒレンに似た暗紫色の頭花をつける。根を乾燥したものは、芳香と苦味があるので薬に使ったり、衣服などの防虫に用いたりした。〔本草和名(918頃)〕
  3. の根を干してつくった薬品健胃薬として用いた。軸木香・株木香・青木香などの種類がある。
    1. [初出の実例]「木香者若青木香歟」(出典:参天台五台山記(1072‐73)七)
    2. [その他の文献]〔宋史‐外国伝・五・占城〕
  4. 植物もっこうばら(木香薔薇)」の漢名。

き‐が【木香】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 新しい木材のかおり。
    1. [初出の実例]「まだ木香(キガ)のとれないくらゐの新建(しんだち)であった」(出典:あらくれ(1915)〈徳田秋声〉四七)
  3. 酒に移った、たる材の香。
    1. [初出の実例]「コノ サケ kiga(キガ) クサイ」(出典:和英語林集成初版)(1867))

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改訂新版 世界大百科事典 「木香」の意味・わかりやすい解説

木香 (もっこう)

生薬名。キク科のSaussurea lappa Clarke(木香)をはじめ,ウマノスズクサ科のウマノスズクサAristolochia debilis Sieb.et Zucc.(青(せい)木香),キク科のVladimiria souliei (Franch.) Ling,V.denticulata Ling(川(せん)木香)やInula belenium L.(土(ど)木香)など,植物学的にはさまざまな種の根が木香の名で利用される。精油を含み,主成分セスキテルペンで,そのほかステロイド,トリテルペノイドも含有する。健胃薬として,また嘔吐下痢腹痛など胃腸薬として用いられる。
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漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典 「木香」の解説

もっこう【木香】

漢方薬に用いる生薬(しょうやく)の一つ。キク科モッコウの根を乾燥したもの。健胃鎮痛利尿抗菌などの作用がある。高血圧動脈硬化肩こりに効く九味檳榔湯(くみびんろうとう)更年期障害月経不順に効く女神散(にょしんさん)などに含まれる。

出典 講談社漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典について 情報

動植物名よみかた辞典 普及版 「木香」の解説

木香 (モッコウ)

学名:Saussurea lappa
植物。キク科の多年草,薬用植物

木香 (モクコウ)

植物。バラ科の落葉低木,園芸植物。モッコウバラの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の木香の言及

【トウヒレン】より

…分布域はミヤコアザミの分布域に近い。【小山 博滋】 カシミール付近のヒマラヤ山地に産するモッコウ(木香)S.lappa Clarkeは高さ1mをこえる大型草本である。根には精油を含み,芳香がある。…

※「木香」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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