東彼杵(読み)ひがしそのぎ

改訂新版 世界大百科事典 「東彼杵」の意味・わかりやすい解説

東彼杵[町] (ひがしそのぎ)

長崎県東部東彼杵郡の町。人口8903(2010)。西は大村湾に面し,東は多良(たら)岳に連なる山地が広がる。中心の彼杵宿郷は古くからの水陸交通の要地で,江戸時代には陸路は嬉野(うれしの)を経て上方へ,海路は大村湾を南下して長崎へ向かう宿場町として栄えた。現在はJR大村線,国道34号線(長崎街道)が通り,佐世保へ向かう国道205号線を分岐する。東部を長崎自動車道が通り,東彼杵インターチェンジがある。17世紀には大村藩により捕鯨業が行われ,鯨問屋が置かれた。主産業は農業で,稲作を中心に,背後の丘陵地でミカン,茶の栽培が盛んである。千綿(ちわた)川上流に奇岩,滝の続く千綿渓谷があり,なかでも竜頭泉(りゆうとうせん)はみごとな滝で,一帯は多良岳県立自然公園に含まれ,また県境近くの大野原高原は大村湾を一望する景勝の地である。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報