デジタル大辞泉
「栄爵」の意味・読み・例文・類語
えい‐しゃく【栄爵】
1 高く貴い位。
2 《五位に叙せられることを叙爵と称し、名誉なこととしたところから》五位の異称。
「東の方より、―尋ねて買はんと思ひて、京に上りたる者ありけり」〈今昔・二七・一七〉
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えい‐しゃく【栄爵】
〘名〙
※読書放浪(1933)〈
内田魯庵〉上下思想とルパシカ思想「
先祖の
余光の富と栄爵とを棒に振るをも辞さない意気込みである」 〔史記‐平津侯主父伝賛〕
② 五位の
別称。初めて五位を与えられるのを叙爵といったが、五位は
通貴といって
貴族(三位以上)に準ずる
地位で、名誉あることとしたところからいう。
※
小右記‐天元五年(982)正月一〇日「円融寺申
二造作料爵
一、以
二大炊允三嶋兼連
一可
レ被
レ預
二栄爵
一之奏状、将遣
二太相府
一可
レ令
二定申
一者」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
栄爵 (えいしゃく)
原義は栄誉ある爵位(位階)。ただし律令では五位以上を貴族としたので,とくに従五位下を指すことが多くなった。いっぽう公共に財物を貢献した者に位階を授ける例が奈良時代から開けていたが,平安時代中期以降,五位を希望する者を募って朝廷・寺社の建物の修築や行事の費用を負担させることが行われ,単に栄爵といえばこの類の売位制度を指すようになった。この栄爵は鎌倉時代以後まで続いた。
→売官
執筆者:時野谷 滋
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
普及版 字通
「栄爵」の読み・字形・画数・意味
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世界大百科事典(旧版)内の栄爵の言及
【売官】より
…【梅原 郁】
[日本]
国家の財政制度として,公然と希望者を募り,任料,叙料を納入させて任官,叙位を行う売官・売位制度が,平安時代を中心に鎌倉時代に及んで行われた。[年官],[年爵]および[成功](じようごう),[栄爵]がそのおもなものである。いずれも平安時代に入って調・庸の粗悪化,未納が増加し,国家財政が困難になるとともに食封(じきふ)に頼っていた皇族,貴族の経済も窮乏したため,その弥縫(びほう)策の一つとして,前者について成功,栄爵,後者について年官,年爵が成立した。…
※「栄爵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」