構造(読み)コウゾウ(英語表記)structure

翻訳|structure

デジタル大辞泉 「構造」の意味・読み・例文・類語

こう‐ぞう〔‐ザウ〕【構造】

一つのものを作り上げている部分部分の材料の組み合わせ方。また、そのようにして組み合わせてできたもの。仕組み。「家の構造」「体の構造」「文章の構造」「構造上の欠陥
物事を成り立たせている各要素の機能的な関連。また、そのようにして成り立っているものの全体。「汚職構造が明らかになる」「経済の二重構造」「社会構造」「精神構造
ある集合で、演算または二点の遠近関係の規定などの数学的性質が与えられるとき、この集合の要素間の関係。数学的構造。
[類語](1造り組み立て骨組み仕組み成り立ち構成編成組成組織機構機序機制体制体系結構コンストラクションシステムメカニズム

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精選版 日本国語大辞典 「構造」の意味・読み・例文・類語

こう‐ぞう‥ザウ【構造・搆造】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 種々の材料を用い、組み立てて作ること。また、その作り方や部分部分の作られ方。つくり。くみたて。
    1. [初出の実例]「撰勝地構造之別庄也」(出典:古事談(1212‐15頃)六)
    2. 「いくらかはじめに土台をまうけてさて搆造(カウゾウ)に着手せざれば」(出典:小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉下)
    3. [その他の文献]〔宋書‐恩倖〕
  3. 構造主義で、ものごとを成り立たせているもの相互の機能的連関をいう。
  4. 数学で、集合とそこで定められた演算、集合とそこで定められた関係など、集合とそれが持っている集合論的対象とから組み立てられるもの。現代数学の対象はすべてこの意味での構造と考えられる。数学的構造。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「構造」の意味・わかりやすい解説

構造(社会学)
こうぞう
structure

理論社会学における一概念。この概念に関しては中心的な問題が三つある。一つは構造が構成されるところの「要素」、もう一つは構造が最終的に志向している「目的(性)」、そして最後に構成要素の算術的加算を超える、構造の「全体性」である。建築学、工学、あるいは解剖学などで用いられ、その後他の分野にも一般化されるようになったこの用語は、もともと、ある目的に対する働き(部分機能)の観点から、部分や要素が一定の関係を形づくり、そうしてできあがった全体が、ふたたびより大きな働き(全体機能)をもつという考え方に基づいている。たとえば機関車や家屋は、それぞれ、その部分である多様な素材の組合せ(この場合は主として力学的)によって構造化された全体が、さらに客車や貨車を引っ張る動力源として、あるいは外的気候条件から人間を守るシールドとして、一定の機能を果たすことになるわけである。

 しかし、留意すべき点がある。すなわち、連続的で境界維持的、かつ多様に連関した諸部分の集合である「システム」と、それらの構成要素がある特定の時点でとる「構造」とを混同してはならない。構造にはシステムの「特殊化」としての側面があり、それだけに、要素、要素間関係の総体としての全体性、その目的性についても具体的なバリエーションを示すのである。すなわち、一定の命題を証明しようとする仮説は、これを構成する諸概念の論理的な整合関係としてある種の構造をもっているし、また、適応、生存を維持する生物有機体は、その諸器官の機能的な秩序関係として、いわゆる解剖学的・生理学的構造を有するわけである。

 社会システムの構造としての社会構造は、通常、地位・役割を構成要素とする機能関係の総体として概念化されているが、これはいうまでもなく社会構造概念の一種にすぎないのであって、要素、要素間関係、目的性の3点にわたって多様な概念化の可能性が存在する。たとえば、マルクスエンゲルス史的唯物論では、全体社会の構造は土台と上部構造との統一体と考えられている。他方、心理学的・観念論的社会学の立場からは、観念や意志の論理的・非論理的結合としての「集合意識」が、その外在性と拘束性のゆえに社会的事実の中核的構造として考えられているのである。

 いうまでもなく、構造概念は、過程、機能、変動などに対して、「静態的な」記述概念であるとする考え方も強い。したがって構造偏重の社会分析をより動態的な機能分析でとってかえようとする試みもあるが、構造のもつ内的ダイナミズムは、その目的性からみて自明のことである。また今日、社会構造との関連でいえば、人々が明示的に認識できる構造に対して、特殊な観察方法で照らし出されるべき社会や集団の深層構造という概念さえもが提唱されているのである。

[中野秀一郎]

『T・パーソンズ、N・J・スメルサー著、富永健一訳『経済と社会』全2巻(1958、59・岩波書店)』『R・K・マートン著、森東吾他訳『社会理論と社会構造』(1961・みすず書房)』


構造(数学的構造)
こうぞう

数学的構造

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普及版 字通 「構造」の読み・字形・画数・意味

【構造】こうぞう(ざう)

しくみ。作りあげる。〔後漢書、徐伝〕張忠、(きう)を怨み、閹官(えんくわん)(宦官)と、すること端無し。に罪を以てせらる。

字通「構」の項目を見る

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「構造」の解説

こうぞう【構造】

建築で、建築物の自重や積載荷重を支え、風圧・積雪・地震などの外力に耐えるはたらきをする骨組みの部分。柱・梁(はり)・基礎などの総体をいい、木造鉄骨造鉄筋コンクリート造鉄骨鉄筋コンクリート造などの種類がある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「構造」の意味・わかりやすい解説

構造
こうぞう
Construction

各種建築物の形成様式をいう。単純な建築物の多かった時代は,たとえば木造,煉瓦造,石造などの材質を示すことで構造が明らになっていたが,現在では,建築の構造方式が多種多様になり,さまざまな材料が複合的に用いられているので,木構造,組積造,ブロック造,鉄筋コンクリート造,鉄骨造,鉄骨鉄筋コンクリート造などの主要構造による分類のほかに,建築物のもつ機能上の特殊目的や,構造物全体の力学的な性格を示す用語がしばしば用いられている。前者には,耐火構造,耐水構造,耐圧構造,耐震構造などがあり,それぞれの目的に適した材質や工法が知られている。後者には,シェル構造,剛構造,ラーメン構造などのように,建物そのものの工学的な構造方式によるものがある。

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岩石学辞典 「構造」の解説

構造

組織

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世界大百科事典(旧版)内の構造の言及

【構造主義】より

…1960年代以降フランスで生まれた現代思想の一潮流。フランスの人類学者レビ・ストロースは,ソシュールに始まり,イェルムスレウらのコペンハーゲン学派やヤコブソンらのプラハ言語学派において展開された構造言語学や,数学,情報理論などに学びつつ,未開社会の親族組織や神話の研究に〈構造論〉的方法を導入して,構造人類学を唱えた。やがて1962年に公刊した《野生の思考》は,これまで非合理的なものとされていた未開人の〈神話的思考〉が,決して近代西欧の〈科学的思考〉に劣るものではなく,象徴性の強い〈感性的表現による世界の組織化と活用〉にもとづく〈具体の科学〉であり,〈効率を高めるために栽培種化された思考とは異なる野生の思考〉であることを明らかにして,近代西欧の理性中心主義のものの見方に根底的な批判を加えた。…

【もの(物)】より

…こうした存在論はおそらく製作物の成立ちをモデルにして構想されたものであろう。ギリシア語のエイドスとヒュレはラテン語ではformaとmateria,ドイツ語ではFormとStoffと訳され,これらの用語とともに物の存在構造についてのこの考え方も中世・近代に受けつがれている。(3)アリストテレス以来,物を経験に与えられる諸特性(シュンベベコスsymbebēkos)の担い手つまり〈基体(ヒュポケイメノンhypokeimenon)〉とみるとらえ方も一つの伝統になっている。…

【数学的構造】より

…その場合,扱われるものは単なる集合ではなく,何らかの数学的性質が付与されたものであるのがふつうである。その付与された性質を数学的構造,または単に構造という。以下に例示するようにいろいろな場合がある。…

※「構造」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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